テイカーズ／ Takers

2011/10/19 外国映画た行, 映画レビュー

ヒップホップアーティストのティップ・“T.I.”・ハリスとクリス・ブラウンが製作・出演している映画『テイカーズ』。

マット・ディロンにポール・ウォーカー、イドリス・エルバとヘイデン・クリステンセンといったメンバーが顔を揃えた、なかなかに面白いクライム・アクションです。
でも、公開前にティップ・“T.I.”・ハリスが武器所持で収監されたり、クリス・ブラウンが当時の恋人・リアーナへの暴行で警察沙汰になったりと、アクシデントが重なって全米公開が半年間遅れたりという、曰く付きの作品だったりも。

さすがプロデューサー、きっちりプランを立てていたはずなのに、思わぬ油断やちょっとした心のゆるみからアクシデントが発生し、みんなで力を合わせてやって来たプロジェクトに影響が出ることもあるということを、自らの身を以て示してくれているのかもしれません。。。

＜STORY＞
LAの銀行で、200万ドルが奪われた。刑事のジャックとエディは、残された証拠を一つ一つ調べ始める。この銀行強盗を起こしたのは、自分たちの流儀にこだわる5人グループの“テイカーズ”。普段は高級スーツに身を包み、ゴージャスなライフスタイルを謳歌していた。ある日、彼らの前に、かつて仲間だったゴーストが姿を現す。彼は、以前のヤマで一人だけ逮捕され刑務所に入っていた。出所後、テイカーズにある現金強奪計画を持ちかけて来たのだが…。

＜Cheeseの解説＞
事前にしっかり練られたプランをもとに、強い結束力と実行力で、犯罪を華麗に実行していく“テイカーズ”の姿を描いた本作。
底辺から身を起こし、大金を手にした後は、自らの出自ををふっきるようにスノッブな生活を送っている“テイカーズ”のこだわりぶりは、「スタイリッシュ」の一言です。

仕立ての良いスーツ、高級車、洗練された家、美しい恋人。
一滴の血も流さず華麗に銀行強盗を成功させた後は、盗んだ金の一部を“いつも通り”チャリティに寄付してしまったりもします。

しかし、かつて犯したミスや、ふっきったと思った家族の呪縛、スタイリッシュな彼らを泥臭く追う刑事の執念などが、やがて彼らをゴーストのように取り囲んでいくのです。

今現在、どんな生活を送っていたとしても、過去の自分がしてきたことからは逃げられないということでしょう。
それは、犯罪者にとっても、刑事にとっても、一般人にとっても、同じことなのだと思います。

それにしても、彼らのライフスタイルやファッションは本当にゴージャス。
金融機関に務めるエグゼクティブと言われても、納得してしまいそうです。

テイカーズの一人一人にも、ちょっとした見せ場が用意されていて、なかなか楽しめます。
なかでも一番の注目は、クリス・ブラウン演じるジェスの逃亡シーン。
刑事に追われることになった彼は、車を飛び越え、ビルから飛び降り、壁をよじ登り、すさまじい逃亡劇を見せます。
その姿は、「これだけの身体能力があるのなら、アスリートになった方が良かったのでは」と思わせるほど。
クリス・ブラウンは、体力勝負系のアクションができる俳優として、これから出演作が増えていくかもしれませんね。

他にも、ヘイデン・クリステンセンのガラス玉のような目や、イドリス・エルバが崩れていく様子なども、かなりの見応えあり。
犯罪者集団・テイカーズの見せる生き様を、どうぞご堪能ください。

別コラム：オトコに見せたいこの映画『テイカーズ』

『テイカーズ』（107分／アメリカ／2010年）
原題：Takers
公開：2011年11月19日
配給：日活
劇場：銀座シネパトスほか全国にて
監督：ジョン・ラッセンホップ
出演：マット・ディロン／ポール・ウォーカー／イドリス・エルバ／ジェイ・ヘルナンデス／マイケル・イーリー／ヘイデン・クリステンセン／ゾーイ・サルダナ／ティップ・“T.I.”・ハリス／クリス・ブラウン
公式HP：http://www.takers-eiga.com/