【映画レビュー】ステキな金縛り
オープニングからクラシックでユーモアたっぷりの三谷幸喜ワールドが広がる映画『ステキな金縛り』。
三谷幸喜の監督第5作目となる本作は、三谷映画ならではの贅沢なキャストとたっぷりのユーモアが楽しいエンターテインメント作品です。
考えてみれば、メインキャストが幽霊の映画ってあんまりないような…。と思ったけど、そういえばけっこうありますね。
でも、今回西田敏行が演じる幽霊は、他の映画に出てくる幽霊とは、一線を画す雰囲気です。
まあ、確かにね。なんせ、421年前に亡くなった落ち武者の霊ですからね。。。
<STORY>
失敗ばかりしてもう後がない弁護士のエミは、ある事件を担当することとなる。その事件は、矢部五郎という男が妻の鈴子を殺害したというもの。しかし矢部は「犯行時間は、旅館で落ち武者の幽霊にのしかかられ、金縛りにあっていた」と主張する。エミがその旅館を訪ねたところ、エミも更科六兵衛という落ち武者の幽霊に遭遇。エミは六兵衛に裁判でのアリバイ証言をしてもらうことに。しかし、六兵衛の姿が見える人と見えない人がおり…。
<解説>
この映画の魅力は、なんといっても西田敏行と深津絵里のコンビが見せる、軽妙なコメディ演技でしょう。
西田敏行演じる更科六兵衛は、現世に想いを遺し、421年も成仏しきれずにこの世をさまよっている落ち武者の幽霊。
本来であれば、ものすご~く強い怨念を持った、恐ろしい存在なはずなのに、なんだか憎みきれない人の良いおじさんだったりします。
口は達者だし、旅館の空き室でテレビばっかり見ていたせいで世間のことにもやたらと詳しいし、食べられないくせに食いしんぼうだし。
対する、深津絵里の演じる宝生エミは、幼い頃に亡くなった父親に憧れて弁護士になったという頑張りやの女性。
やる気と元気はあるのですが、自分に自信がなく、失敗ばかりしている女性です。
この二人が、裁判というひとつのプロジェクトの成功を目指して努力するうちに、心を通い合わせ、成長しながら変化していくのです。
この二人に絡む阿部寛、中井貴一ら他の俳優たちの演技も、デフォルメたっぷりでノリノリな雰囲気。
特に浅野忠信なんて、あまりにも豹変し過ぎてエンドロールを見るまで誰が演じているのか気付かなかったほどです。
こういう、出演俳優たちが、現場を楽しんでいる雰囲気っていうのは、いい雰囲気で映画にも出ていますね。
楽しみつつ、監督や俳優たちが切磋琢磨しているというのは、やっぱりいいものです。
個人的には、和田誠タッチのオープニングに続く、山本耕史&竹内結子の、作り込んだクラシカルな雰囲気が好きだったなあ。
セットに衣装にメイクに演技、徹底して作り込んでいるのが心地よいですね。
他にも、三谷作品ならではの豪華なカメオ出演や、『THE 有頂天ホテル』、『ザ・マジックアワー』のあのキャラたちがあのままの姿で出演しているのも楽しい!
『スミス都へ行く』、『素晴らしき哉、人生!』といったフランク・キャプラの名作も作中に出てくるので、これらも再チェックしてみたいと思います。
『ステキな金縛り』(142分/日本/2011年)
公開:2011年10月29日
配給:東宝
劇場:全国にて
監督・脚本:三谷幸喜
出演:深津絵里/西田敏行/阿部寛/竹内結子/浅野忠信/中井貴一/深田恭子/唐沢寿明/篠原涼子/KAN/佐藤浩市/草彅剛/山本耕史/市村正親/木下隆行/戸田恵子/小日向文世
公式HP:http://www.sutekina-eiga.com/
キングレコード (2011-10-05)
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