【映画レビュー】ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス ／ Doctor Strange in the Multiverse of Madness

『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』で禁断の呪文を使い、スパイダーマンことピーター・パーカーの記憶を全世界の人々から消し去ったドクター・ストレンジ。
自身もピーターのことなどすっかり忘れてしまったと思われるドクター・ストレンジが単独タイトルロールとなるシリーズ第2作が、この映画『ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス』です。

本作でドクター・ストレンジの敵となるのは、ワンダ・マキシモフことスカーレット・ウィッチ。
マルチバースを舞台に、いろんなドクター・ストレンジも登場し、サム・ライミ監督らしいダークな世界が繰り広げられていきます。

まあ、今回の騒動の原因の一端は、ドクター・ストレンジが『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』でおかしたミスのせいでもあるわけで……。ある意味、自業自得だったりもするのですよね。。。

元恋人・クリスティーンの結婚式に参加していたスティーヴン・ストレンジは、街に怪物が現れたことに気づき、ウォンと共に怪物を撃退。その怪物はある少女を追っていた。その少女アメリカ・チャベスはマルチバースを行き来できる能力を持っており、そのために追われていたのだ。ドクター・ストレンジはマルチバースにくわしいワンダ・マキシモフことスカーレット・ウィッチに助言を求めるが、実は彼女こそがアメリカを追う黒幕だった……。

ディズニープラスで配信されていたドラマ「ワンダヴィジョン」。このドラマでワンダ・マキシモフは、愛するヴィジョンと双子の息子・トミーとビリーと共に、まるでテレビドラマの中の幸せな家族のような生活を送っていました。
しかしそれは、ヴィジョンの死という結末を受け止めきれなかったワンダが、その超能力で作り出した世界だったのです。

こうやってマルチバースの世界を知ったワンダは、呪文書「ダークホールド」に書かれた禁断の魔法で、マルチバースの世界と、マルチバースを行き来できるアメリカ・チャベスを引き寄せたのでした。

アメリカ・チャベスを保護したドクター・ストレンジとソーサラースプリームのウォンらは、カマー・タージでワンダを迎え撃つのですが……。
今作はドクター・ストレンジがメイン・キャラクターというだけあって、カマー・タージ所属の魔術師軍団が多数登場。

さらに、別バースに存在する別のドクター・ストレンジや、別バースのイルミナティメンバーとしてプロフェッサーXやモルド、キャプテン・カーターやその世界のキャプテン・マーベルであるマリア・ランボー、ミスター・ファンタスティックにインヒューマンズのブラックボルトなども登場。もう、マルチバースということでなんでもありです。

フェーズ4に入り、更に幅を広げてきたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。この『ドクター・ストレンジ／マルチバース・オブ・マッドネス』は、「ワンダヴィジョン」、「ホワット・イフ…?」、「ロキ」、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に続き、本格的にマルチバースの世界観を盛り込んだ一作です。

奇しくも、本作のメガホンを取ったのは、2002年にスパイダーマンを実写化し、大ヒットさせたサム・ライミ監督。
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にスパイダーマン役で復活したトビー・マグワイアと共に、アメコミ映画を大ヒットさせ、今のMCUの礎を築いた功労者とも言える2人が、20年の時を経て復活するというのは、ファンにとって、なんとも胸熱な展開です。