【映画レビュー】偉大なる、しゅららぼん

万城目学原作を、CMディレクターとして活躍する水落豊監督が映画化した『偉大なる、しゅららぼん』

琵琶湖のほとりに暮らす、不思議な力を持った日出一族の高校生を、濱田岳岡田将生が演じています。
そもそも20代の彼らが高校生役なんてできるのかと思いきや、妙な赤い学生服が、彼らをちょっと変わった高校生に見せており、ほとんど違和感がありません。

濱田岳、岡田将生、深田恭子貫地谷しほりと言った濃い俳優たちが、殿様のようにお城に暮らす妙な一族の世界観に説得力を与えています。

<STORY>
琵琶湖のほとりで太古から不思議な力を伝承してきた一族・日出家。分家の涼介は、高校入学をきっかけに、力の修行をするため、跡取りで涼介と同い年の淡十郎、長女の清子らと共に本家で暮らし始める。最強のパワーの持ち主だという淡十郎は生まれながらの殿様として、時代錯誤な生活を送っていた。涼介と淡十郎は高校に入学するが、クラスには日出家と1300年間いがみあってきたもうひとつの力を持つ一族・棗家の長男の広海がおり…。

<解説>
琵琶湖の神から“力”を与えられた日出家と棗家。
その日出家の跡取りである淡十郎と、その従弟の涼介、そして棗家の跡取りである広海が高校でクラスメイトとなった時に、日出家、そして棗家を巻き込んだ大変な事態が巻き起こる…。
そんな琵琶湖の“力”を巡る事件のドタバタを描いたのが、この映画『偉大なる、しゅららぼん』です。

棗広海を演じるのは、渡辺謙の長男で、1984年生まれの渡辺大
やっぱり高校生にはとても見えないわけですが、この世界観の中に入ると、高校生に思えてくるから不思議です。

対立する日出家と棗家を尻目に、さらに大きな災厄が琵琶湖を襲います。
そして日出家と棗家が力を合わせ、その災厄に立ち向かうのです。

しかし、この映画、設定も面白いし、ビジュアルも面白いし、キャラクターも面白いし、俳優もいいんだけど、なんだか惜しいところが多かったです。
特に最後のクライマックス。
ほとんどが俳優による説明セリフで物語が語られていくのです。そこには、観客の想像の余地、ほとんどなし。
すべてが余す所なく語られ、過不足なく“言いたいこと”が言われているのでした。

まあ、これがCMであれば、アピールポイントやメリットなどを全部観客に教える必要があるし、全部説明する必要があるのでしょうけれど。
設定やビジュアルも、キャラクター、出演俳優で世界観を作り上げ、大事なポイントは言葉で説明する、これがCMなのでしょう。

でも、映画であるからには、ドラマを、俳優の演技や監督の演出で見せてもらいたいと思っちゃうのです。
セリフですべてを説明するのは、芸がなさすぎるような気が。。。

俳優やビジュアルが面白い分、もったいないと感じるところが大きい作品でした。

『偉大なる、しゅららぼん』(114分/日本/2014年)
英題:The Great Shu Ra Ra Boom
公開:2014年3月8日
配給:東映、アスミック・エース
劇場:全国にて
原作:万城目学
企画プロデュース:山田雅子
監督:水落豊
脚本:ふじきみつ彦
音楽:瀬川英史
主題歌:ももいろクローバーZ
出演:濱田岳岡田将生深田恭子渡辺大貫地谷しほり佐野史郎高田延彦森若香織田口浩正大野いと/柏木ひなた/小柳友津川雅彦笹野高史村上弘明
公式HP:http://shurara-bon.com/

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