【映画レビュー】シャン・チー/テン・リングスの伝説 / Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings

【映画パンフレット】 シャン チー テンリングスの伝説 監督 デスティン・ダニエル・クレットン 出演 シム・リウ、トニー・レオン、ミシェル・ヨー、

マーベルで初めて、アジア系のヒーローが活躍する映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
マーベル×カンフーと聞けば、期待値は高くなろうというもの。

さらに、1990年代の香港映画に欠かせない二人の大スター梁朝偉(トニー・レオン)と楊紫瓊(とミシェル・ヨー)が1993年の映画『新流星胡蝶剣』ぶりに共演しているというのも、個人的に胸熱すぎる……。

そんな熱い期待を胸に鑑賞してきたわけですが、やっぱりMCU。さすがとしか言いようがありません。
熱い期待にばっちりと答えてくれました。

冒頭から、アン・リー作品やチャン・イーモウ作品を想起させる物量で見せる大陸風アクション、香港風の見事なカンフー、そしてワイヤーワーク。
中盤のマカオのビルでのアクションは、まるでジャッキー・チェン映画のよう。

そして続く、現代のサンフランシスコやマカオ、そして中国の桃源郷のような神秘の世界で繰り広げられる戦いの数々に、思わず見とれてしまいました。
地球、宇宙、アスガルド、量子の世界まで広がるマーベル・シネマティック・ユニバース。まだまだ新しい世界に新しいヒーローがいるとは。なんと奥が深いのでしょうか。。。

STORY

サンフランシスコのホテルで働くショーン。ある日親友のケイティと乗ったバスの中で謎の男たちに襲われる。実は、ショーンの本当の名前はシャン・チーで、犯罪組織テン・リングスの首領ウェンウーの息子だったのだ。離れて暮らす妹のシャーリンが危険だと感じたシャン・チーとケイティは、シャーリンの暮らすマカオに向かう。マカオで妹と再会したシャン・チーだが、そこにも殺し屋たちが。やがて彼らの前に父のウェンウーが現れ……。

解説

マーベル・シネマティック・ユニバース25作目となる映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
「アイアンマン」シリーズにも登場してきた犯罪組織テン・リングスの秘密が明かされ、そしてそのテン・リングスの首領ウェンウーの息子で、父から逃げてアメリカで暮らしていたシャン・チーがヒーローとして立ち上がる様を描いています。

犯罪組織テン・リングスというのは、ウェンウーが組織する最強殺し屋軍団。その腕輪は異星人の技術で作られたもので、装着することで無限のパワーを発揮することができます。

そんな腕輪を持つウェンウーは、若き日に神秘の村“ター・ロー”で、リーという女性と出会い、恋に落ち、シャン・チーとシャーリンという二人の子どもを授かることに。
しかし彼女はやがて、ウェンウーと二人の子どもたちを残し、死んでしまいます。
そして彼女の死が、ウェンウーを変えてしまうのです……。

そしてウェンウーはリーを甦らせるためにテン・リングスを率いて“ター・ロー”に戦いを挑みます。
シャン・チーとシャーリン、そしてケイティは、“ター・ロー”でウェンウーを迎えうつのですが……。

本作は、偉大な父から逃げ続けていたアジア系アメリカ人ショーンが、本当の名を取り戻し“シャン・チー”というヒーローに成長するまでの物語。
テン・リングスのパワーを持つ父と戦い、父を乗り越えていくのです。

映像的にも見どころはたっぷりですが、個人的にはやはりカンフー&SFXをミックスさせた戦闘シーンが何よりも最高でした。
特に、想像を絶するテン・リングスのパワーをあらわすその映像。
ウェンウーの腕に装着されていたリングスは、戦いの流れの中で、シャン・チーの方にやってきたり、ウェンウーに取り戻されたりします。

ウェンウーに装着されたとき、そのパワーは青白く発光します。そしてシャン・チーに装着された時、そのパワーはオレンジ色に発光。青とオレンジのパワーは時に拮抗し、時に片方を圧倒します。

そのパワーはまさに、流転し、その時々で移り変わる“陰と陽”。

スター・ウォーズ的な善=青、悪=赤といった単純な表現ではなく、万物は流転するという東洋的な思想が見事に表現されていました。

また、この作品には特筆すべきことがもう一つ。エンドクレジット後の特別映像です。
最後の最後に、マーベルの「時代の流れをきちんと踏まえながら、もっともっと作品をよくしていこう」という心意気を感じ、さらに心を奪われてしまいました。

過去の間違った描き方を回収し、新しいものに生まれ変わらせていく。世代は交代し、ジェンダーや人種を越えて、より良い作品、より面白い作品を持ってまた帰ってくる。

これはまさに、世界のエンターテインメントを牽引するパワーを持つマーベルが、新しいフェーズに入ったという、高らかな宣言なのでしょうね。

作品情報

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(132分/アメリカ/2021年)
原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings
公開:2021年9月3日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
劇場:全国にて
監督・脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
製作:ケヴィン・ファイギ
脚本:デヴィッド・キャラハム
音楽:ジョエル・P・ウェスト
出演:シム・リウトニー・レオンオークワフィナミシェル・ヨー/メンガー・チャン/ファラ・チャン/フロリアン・ムンテアヌ/ベネディクト・ウォンティム・ロスツァイ・チンユン・ワーベン・キングズレーマーク・ラファロブリー・ラーソン
Official Website:https://marvel.disney.co.jp/movie/shang-chi.html

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© Marvel Studios 2021

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