進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

この作品の映画化のニュースを聞いた時、「これは超大型地雷作品がくるのか…」とファンをおののかせた映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

諫山創の人気コミックス「進撃の巨人」の映画化に、樋口真嗣監督が果敢に挑んでいます。

観終わった時点での素直な感想は、「うん、面白かった! 原作からの改変もうまくいってるし、これは全然ありだなー」というもの。
さすが、巨大怪獣の登場する特撮映画を作り上げてきた日本映画界だけあって、巨大な生物に襲われ、喰われてしまうかもしれないという“特撮映画ならではの恐怖感”を存分に味わわせてくれます。
でもまあ…、“特撮映画”としては充分素晴らしいと思うのですが、昨今のハリウッドの現実としか思えないCG万差のアクション大作を見慣れた現代の映画ファンにとっては、どうもチープに感じられる“特撮感たっぷり”の映像は、評価がわかれるところかもしれません。
そこを気にしなければ、充分に面白いのですが、個人的にはどうもひっかかってしまったな。。。

<STORY>
人喰いの巨人から逃れるため、100年以上もの間、人類は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていた。ある日、100年ぶりに現れた超大型巨人によって壁が壊され、人類は再び巨人に襲われる恐怖を味わった。幼なじみのミカサを巨人に食われたエレンは、友人のアルミンと共に調査団に入る。そして外壁の修復のため外に出たエレンら新兵は巨人の急襲を受けてしまう。そこに“巨人殺し”として知られるシキシマと、彼の部下の女性が現れ、鮮やかに巨人を倒す…。

<解説>
全世界累計で5000万部の発行を誇る諫山創の原作コミックを映画化した本作。
登場人物たちはほぼドイツ語由来の名を持ち、車などの技術を持たないという原作の世界観をうまく改変し、日本人俳優たちが軍艦島のような廃墟を舞台に巨人と戦う物語に仕上げています。

この映画の主人公は、三浦春馬演じるエレン。
幼なじみのミカサを殺され、復讐のためにも巨人と戦おうと兵団に入る青年です。

本当に巨人なんかいるのかと疑って、壁の外に出たがっていたエレンは、100年ぶりの巨人の来襲で幼馴染のミカサを亡くし、何もできない自分と世界に絶望感を感じている青年です。
その絶望感を抱えたまま、兵団で訓練に臨んでいます。

彼の仲間たちは、原作にも登場するアルミン、ジャン、サシャのほか、サンナギ、フクシ、リル、ヒアナという映画オリジナルのキャラクター。
びっくりするくらいに兵士としての自覚がなく、エゴ丸出しだったり弱々しかったりする彼ら、観客としては彼らの適性を疑わざるを得ません。
しかし、彼らのゆるさや兵士としての適性不足は、まさに現代の若者たちのそのままと言うこともできます。
何も危機感なく、100年間ノホホンと生きてきた人類が、突然の種の存続の危機に直面し、能力も適性も関係なく戦わざるを得なくなった存在が、彼ら新兵なのです。

物語は、エレンとこの新兵たちが、内側の壁を出て、外側の壁の修復というミッションに出かけ、巨人と出会い戦う模様を描いています。

他の登場人物としては、最強の戦士・シキシマや武器オタクの無邪気な上官・ハンジなどがいるわけですが、この二人を演じる長谷川博己石原さとみは、この作品で最も得をしている俳優かもしれません。
辛気臭い他のメインキャラクターに比べ、それぞれ別の方向性に暴走しているこの二人、極端なキャラクターをのびのびと、トゥーマッチなくらいに演じていて、ドラマにスパイスを与え、ストーリーを引き締めているのです。

そして、この映画で最も重要なキャラクターとも言える“巨人”。
この“巨人”、CGと、生身の人間が演じる特撮、文楽のように人が巨人を操る操演という3つの技術を使って映像化しています。
生身の人間が扮している巨人に関しては、なかなかうまく映像化できていると思うのですが、それ以外はやはり気になる部分があったりも…。
もともと原作者の諫山創があんまり絵が上手な人ではないので、デッサンがおかしい部分もあるのですが…、それをそのまま立体化しているので、人型の生き物の造形として、明らかに不自然な巨人がいるのですよね。
そこは原作を再現する必要はないのではと、思わず冷めてしまったりもしたのでした。

しかし、この作品、やはり怪獣映画などの特撮映画の経験を持つ樋口真嗣監督だけあって、巨大な何かが襲ってくる恐怖、巨人によって人が喰われる恐怖など、その恐怖演出はさすが。
捕食対象となってしまった人間が、自分の何倍もの大きさの巨人に立体機動装置などを使って立ち向かっていく様子は、アトラクション的な楽しさも感じさせます。

原作を読んでいない人にとっては、かなりの驚きで見られるであろう展開を迎え、物語が一番盛り上がったところでスッパリと断ち切られる、後半への興味を引き立たせる終わり方もさすが。
前半を観た人は、後半を観ずにはいられないのではないでしょうか。

今の日本映画界が描く特撮映画の最高峰と言えるであろうこの作品、原作を読んでいる人も、読んでいない人ももちろん楽しめます。
日本の大ヒットコミックを、日本の俳優たちが演じ、日本のスタッフたちが作り上げたこの作品、今の日本映画、日本社会の現状を教えてくれるような作品です。

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(98分/日本/2015年)
公開:2015年08月01日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:諫山創
監督:樋口真嗣
脚本:渡辺雄介町山智浩
キャラクターデザイン:貞本義行竹谷隆之/田島光二
特撮監督:尾上克郎
特殊造形プロデューサー:西村喜廣
音楽:鷺巣詩郎
主題歌「ANTI-HERO」SEKAI NO OWARI
出演:三浦春馬長谷川博己水原希子本郷奏多三浦貴大桜庭ななみ松尾諭渡部秀水崎綾女武田梨奈石原さとみピエール瀧國村隼
Official Website:http://www.shingeki-seyo.com/

進撃の巨人 コミック 1-16巻セット (講談社コミックス)
諫山 創
講談社
売り上げランキング: 693
ANTI-HERO(アンタイヒーロー)初回限定盤A[CD+DVD(ANTI-HERO Music Video+メイキング映像)]
SEKAI NO OWARI
トイズファクトリー (2015-07-29)
売り上げランキング: 11
スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。