【映画レビュー】悪夢ちゃん The 夢ovie

2014/3/24 日本映画あ行, 映画レビュー

毎晩見てはいるものの、自分ではコントロールできない“夢”。

そんな夢をテーマに、多感な小学生たちの心を描いた日本テレビ系列のドラマ「悪夢ちゃん」が映画化されました。
その名も、『悪夢ちゃん The 夢ovie』。

北川景子が悪夢ちゃんの担任教師を演じ、全身で生徒たちにぶつかっています。
ファッションも今どきで、口は悪いものの、自分なりの方法で事件の解決法を探りつつ、生徒たちの判断を重視してサジェスト＆サポートする彼女は、実はかなり“理想の教師像”と言えるかもしれません。

一見キワモノに見えるものの、子どもたちの心をまっすぐに見据えた、なかなかのジュブナイル・ムービーと言えるでしょう。

＜STORY＞
明恵小学校6年2組に通う“悪夢ちゃん”と呼ばれる少女・古藤結衣子は、他人の無意識と感応し、その人の不吉な未来を悪夢として見てしまう能力を持っていた。彼女のクラスの担任・武戸井彩未も、かつては同じような能力があり、結衣子の良い相談相手になっていた。ある日の結衣子の夢に、巨大な怪鳥に乗った夢王子が出てくる。彼はクラスメイトを次々に剣で切り裂き、一人残った結衣子は彼にキスをせがむ…。そして次の日、夢王子とそっくりの渋井完司が転校して来て…。

＜解説＞
今作では、木村真那月演じる悪夢ちゃんの初恋相手で、クラスに問題をもたらす転校生役でSexy Zoneのマリウス葉が参加しています。

王子様のようなルックスながらも、どこか影があり、悪魔的な魅力を持った彼に初恋を覚える悪夢ちゃん。
北川景子演じる彩未先生や、小日向文世演じる彼女の祖父も、そんな悪夢ちゃんの成長をそっと見守りつつ、彼女たちが問題を解決していく様子をそっとサポートしています。

棒のように細い手足におかっぱ頭、もにょもにょとしゃべる悪夢ちゃんも、少しずつ大人の階段を上っていきます。
彩未先生は、そんな悪夢ちゃんの成長を喜びつつも、少し淋しさを覚えたり。
でも、子どもたちを先回りして余計な指導をすることはしないのですね。

必要以上に子どもたちに干渉するのではなく、子どもたちの自主性や解決能力に任せる方針は、とても素晴らしいと思います。

この映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』、ドラマに登場したキャラクターたちをきっちりと登場させ、ドラマファンの期待も裏切りません。
“悪夢”というマイナスイメージを持つ言葉を重要なキーワードとし、マイナスをプラスに変えてみせたこの作品、子どもたちの成長を見事に描き出しました。
子どもの力を信じているこの作品、子どもにこそ観てしい映画だと思います。

『悪夢ちゃん The 夢ovie』（119分／日本／2014年）
公開：2014年5月3日
配給：東宝
劇場：全国にて
原案：恩田陸
監督：佐久間紀佳
脚本：大森寿美男
音楽：横山克
主題歌：ももいろクローバーZ
出演：北川景子／Gackt／優香／木村真那月／マリウス葉／佐藤隆太／小日向文世／濱田マリ／本上まなみ／藤村志保／阿南健治／キムラ緑子／和田正人／川村陽介／岡田圭右／森尾由美／田中哲司／雛形あきこ／六角精児／脇知弘／鈴木福
公式HP：http://akumuchan-movie.jp/