【映画レビュー】オールド・ボーイ / Oldboy
見事にダメ男しか出て来ない、ダメ男たちの復讐映画とも言える映画『オールド・ボーイ』。
ジョシュ・ブローリン演じる主人公のジョーは、アルコール中毒気味で、家族はほったらかし、大事な商談相手の恋人をビッチ呼ばわりして商談をぶちこわしてしまうような男です。
ジョーの監禁を命令するシャールト・コプリーは家族コンプレックスにまみれてウジウジと女々しいし、ジョーの監禁を実行するサミュエル・L・ジャクソンは、相変わらず口汚くFワードばっかり言ってるし。
でも、だからこそ、最後のジョーの選択に大きな宗教性を感じ、韓国版を観た時とはまた別の感銘を受けました。
とは言え、一番私が気になったのは、チェリストの少女のこれからの人生なんですけどね。
ずっと養ってくれた人があんなことになって、これからどうするんだろう。。。
<STORY>
1993年、ジョー・デュセットは安ホテルの一室に監禁されてしまう。そして、テレビのニュースでジョーの元妻が殺され、自分が犯人とされていることを知る。その後、ジョーはあるテレビ番組で残された娘・ミアの成長を知り、良い父親になろうと心を入れ替え、体を鍛え始めた。そして2013年、唐突にジョーは解放される。ソーシャルワーカーのマリーと出会ったジョーは、彼女の助けを借り、自分が誰になぜ監禁されたのかを調べ始めるが…。
<解説>
2004年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したパク・チャヌク監督、チェ・ミンシク主演の韓国映画『オールド・ボーイ』をスパイク・リー監督がハリウッドリメイクした本作。
スパイク・リー監督は、このパク・チャヌク版を充分に尊重しながらも、最も大きな部分で独自の解釈を付け加え、映画化しています。
さらに、主人公が受ける“復讐”の原因も…。
パク・チャヌク版では「なんだ、それ? そのくらいで○○しちゃうの?」と、韓国外の人間にはちょっとわかりづらいような理由だったのを、ハリウッド版では「まあ、そんなことがあればね…。復讐もしたくなっちゃうよね」というような、わかりやすい理由に変更しています。
そう考えると、パク・チャヌク版はいろいろな面で韓国の国民たちが抱える社会問題などを描いていたのだなあと、改めて実感させられました。
逆に、このスパイク・リー版では“復讐”というより、人間が抱える“罪”の方に重きが置かれている気がします。
このスパイク・リー版、パク・チャヌク版で印象的なシーンをそのままに再現しているシーンが多いのですが、圧巻なのは、やはり監禁施設に殴り込んで戦うシーン。
35人の悪漢との戦いを1カットで、流れるようなカメラワークで描いています。
このシーンは、やっぱりかなり見応えあり。
映画冒頭ではブヨブヨのたるんだ体を見せていたジョシュ・ブローリン、このシーンでは見事に引き締まった筋肉質の体で見事な格闘ぶりです。
やはり俳優というのは、体を使って表現する職業。
彼の俳優魂を見せてもらった気がします。
パク・チャヌクの映画をリメイクしたこの作品、やはり、スパイク・リー版とパク・チャヌク版の作品の肌触りの違いを感じてみて欲しいと思います。
『オールド・ボーイ』(103分/アメリカ/2013年)
原題:Oldboy
公開:2014年6月28日
配給:ブロードメディア・スタジオ
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
原作:土屋ガロン/嶺岸信明
監督:スパイク・リー
脚本:マーク・プロトセヴィッチ
音楽:ブルース・ホーンズビー
撮影:ショーン・ボビット
出演:ジョシュ・ブローリン/エリザベス・オルセン/シャールト・コプリー/サミュエル・L・ジャクソン/リチャード・ポートナウ/マイケル・インペリオリ/ランス・レディック/マックス・カセラ/ジェームズ・ランソン/ハンナ・ウェア/ケイトリン・ダラニー/ポム・クレメンティエフ/リンダ・エモンド/グレイ・デイモン/ハンナ・シモーヌ
公式HP:http://www.oldboymovie.jp/
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