【映画レビュー】ナイトメア・アリー / Nightmare Alley
『ヘル・ボーイ』、『シェイプ・オブ・ウォーター』など、“異形の哀しみ”や“異形であることの恍惚”を描いてきたギレルモ・デル・トロ監督。
このデル・トロ監督の最新作『ナイトメア・アリー』は、自分は異形ではないと信じ続け、抗いながらも、やがて異形の道へと堕ちていく男を描く物語です。
カーニバルの見せ物として、鶏の生肉を喰らい生き血を啜る獣人(ギーク)……。
それは果たしてどのようにして作られ、どのように自らを受け入れていったのでしょうか。。。
STORY
故郷を出たスタンは、あるカーニバルにたどり着く。そこには人とも獣ともわからない獣人(ギーク)が、見せ物として飼われていた。一座に潜り込んだスタンは読心術を会得し、そのカリスマ性から皆から一目置かれるようになっていく。スタンはカーニバル育ちの純真なモリーを連れ一座を出たスタンは、一流ホテルで上流階級の人々を相手に読心術ショーで人気を博すように。そんなスタンの前に、リリスという心理学博士が近づいてきた……。
解説
あやしくも魅惑的なカーニバルの見世物小屋。
本物のようなまがい物のような、見てはいけないもののような、目が離せないような。
この物語『ナイトメア・アリー』は、悪夢小路に迷い込んだ一人の男が、幻影に惑わされ、自分自身の正体もわからなくなってしまう物語です。
ブラッドリー・クーパー演じる主人公のスタンは、故郷を捨てた流れ者。バスの終点にあったカーニバルのサーカスに紛れ込みます。
そこには、見世物小屋があり、多くの芸人や見世物がありました。
読心術師、軽業師、占い師、獣人、母親を殺した胎児・エノク……。
スタンはそのサーカスで暮らしながら、ピートとジーナという二人から読心術を学びます。
その読心術は危険なものとされ、師匠のピートからは悪用を禁じられました。しかしスタンはそのアドバイスを聞かず、読心術を悪用した“幽霊ショー”を開催しようとするのです。
やがて、ジーナやカーニバルの仲間たちを裏切って、カーニバル育ちの少女・モリーを連れてカーニバルを離れたスタン。都会で読心術ショーを開催し、上流階級の有閑層から人気を博します。
しかし、そこで心理学博士のリリスと出会ったことから、スタンの運命は狂い始めるのです。
「人の心理など手玉にとれる」と思い上がったスタンと、人の心理を見つめ続けたがゆえにその複雑さと単純さに鈍感かつ敏感になっているリリス。
彼らは似たもの同士でありながら、相反する存在でもありました。
やがて、スタンは裏社会の大物エズラ・グリンドルに幽霊ショーを仕掛けようとします。
スタンはその傲慢さゆえに、自分が今どこにいるか、自分が何者なのか気づかなかったのです。
そこは悪夢小路、自分は獣人だということに……。
ギレルモ・デル・トロは、ある種のアメリカン・ドリームの中に潜むナイトメアを、寓意たっぷりに描き出しました。前半のカーニバルのシーンは、『フリークス』などを参考にしたそう。
見世物小屋のあやしさを描いた前半と、1940年代のノワール映画のような雰囲気のような後半。
その世界を禍々しいものと感じるか、人間らしいものと感じるか、現実離れしていると感じるか、どこに魅力を感じるか……。その辺りは、観客それぞれの人生観や経験値によって、大きく違ってきそうな一作です。
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【映画ニュース】ギレルモ・デル・トロ最新作『ナイトメア・アリー』ワールドプレミア開催!:http://c-movie.jp/news/nightmare-alley_premiere/
作品情報
『ナイトメア・アリー』(150分/アメリカ/2021年)
原題:Nightmare Alley
公開:2022年3月25日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
劇場:全国にて
原作:ウィリアム・リンゼイ・グレシャム
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:キム・モーガン
美術:タマラ・デヴェレル
音楽:ネイサン・ジョンソン
出演:ブラッドリー・クーパー/ケイト・ブランシェット/トニ・コレット/ウィレム・デフォー/リチャード・ジェンキンス/ルーニー・マーラ/ロン・パールマン/デヴィッド・ストラザーン/ホルト・マッキャラニー/ジム・ビーヴァー/マーク・ポヴィネッリ/メアリー・スティーンバージェン/ロミナ・パワー/ポール・アンダーソン/デヴィッド・ヒューレット/クリフトン・コリンズ・Jr/ティム・ブレイク・ネルソン/スティーヴン・マクハティ
Official Website:https://searchlightpictures.jp/movie/nightmare_alley/
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