恋する・ヴァンパイア
この作品が初の監督作品だという鈴木舞監督が、原作・監督・脚本まで務めたという映画『恋する・ヴァンパイア』。
桐谷美玲ちゃんや戸塚祥太くんは頑張っているし、田辺誠一と大塚寧々は夫婦で楽しそうにコメディ演技を披露しているし、豪華にも中国や韓国、台湾の俳優たちが出ていたりもするけれど、いくら北京の中央戯劇学院で学んだとは言え、まだ初監督は厳しいんじゃないか…、もうちょっと助監督なんかして修行を積んだ方が良かったんじゃないか…、もしくはプロデューサーなり助監督なりがもうちょっと脚本や編集に口を出した方が良かったんじゃないか…、せめてもうちょっと伏線は活かした方がいいんじゃないか…、ネタをちりばめといてそのまま回収しないなんてもったいないんじゃないか…、外国の俳優を使っといてその扱いってどうなんだ…、ラブストーリーなのかコメディなのかファンタジーなのかその全部をやりたかったのに中途半端になっちゃったのか…、だったらもっとテーマを絞り込んだ方が良かっただろうし無理矢理なアクションシーンとか必要ないんじゃないのか…、お嬢様の余技ってわけでもなかろうしいくらのお金動かしてこのプロジェクト進めてると思ってるんだ…、などとついいろいろモヤモヤ考えてしまいました。
どんな企画書を提出して、この映画の企画にGOサインが出たのでしょうか。。。
でもまあ、桐谷美玲ちゃんは可愛いです。はい。
<STORY>
ヴァンパイアの両親と、台湾で幸せに暮らしていた少女・キイラ。ある日、両親が他のヴァンパイアに殺され、彼女は日本人の祖父と共に日本へ渡る。そしてキイラは祖父の宋二郎と母の妹・まりあらが営むパン屋“ヴァンパン屋”で、パン職人を夢見る女性へと成長する。ある日、台湾で暮らしていた頃の初恋相手・哲が偶然にヴァンパン屋を訪れる。キイラは、自分がヴァンパイアであることを哲に言えないまま、彼とデートを重ねるのだが…。
<解説>
桐谷美玲が台湾育ちの日本人ヴァンパイア・キイラを演じ、そのキイラの初恋の相手をA.B.C-Zの戸塚祥太くんが演じている本作『恋する・ヴァンパイア』。
まあ、ラブコメディですし、あんまり細かいことに目くじらをたてるような作品でもないのだとは思いますが、今ひとつ、監督が何をやりたいのかはっきりしない感じがします。
「トワイライト」シリーズみたいな運命の恋人たちの物語っていいなー、
でもシリアスなのも大変だからコメディタッチにしたいなー、
パンが好きだからパン屋を舞台にしちゃおっかなー、
相手役の男の子はミュージシャンがいいよねー、
でもただのイケメンが彼氏っていうのも芸がないから、ちょっとオタクっぽい男の子を恋のパワーでおしゃれに変身させるのって面白いかもー、
でもやっぱりヴァンパイアだから敵対する勢力との戦いとかもあった方がいいよねー、
どうせだったら日本の俳優だけじゃなく、アジアのスターたちも出演してたら豪華じゃない?
バズーカぶっ放すのとかも、面白そう!
そして最後はやっぱり○○を通じて理解し合う運命の二人、っていうのがいいよね!
そんな夢見る女の子の理想を、取捨選択することなく詰め込んだ感じなのです。
でもね…、やっぱり取捨選択って大事だと思うのです。
思いついたネタを全部盛り込みたくなっちゃうのは理解できますが、中途半端にネタを盛り込んでそのほとんどを処理せずにほったらかしにされると、観ている方は「え、あのネタ、これで終り? いったいなんだったの…?」と、置いていかれたような気分になってしまいます。
うーん、なんだかもったいない作品だったなあ。
まあ、逆に考えると、恋する若い女の子の、とっちらかってやりっ放しな頭の中を、よく表していると言える作品なのかもしれませんが。
でも、捨てる勇気って、やっぱり大事です。
そういう意味では、創作に携わる人にとっては、示唆に富んだ一作と言えるかもしれません。
『恋する・ヴァンパイア』(102分/日本/2015年)
公開:2015年4月17日
配給:ファントム・フィルム
劇場:TOHOシネマズ 新宿ほかにて
原作・監督・脚本:鈴木舞
出演:桐谷美玲/戸塚祥太/大塚寧々/田辺誠一/柄本明/三戸なつめ/チェ・ジニョク/モン・ガンルー/イーキン・チェン
Official Website:http://love-vampire.com/
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