【映画レビュー】ギャング・オブ・アメリカ / Lansky
ギャング映画などによく登場する、実在したギャング、アル・カポネ、フランク・コステロ、ラッキー・ルチアーノ、ベンジャミン・シーゲル……。
彼らと並ぶ暗黒街の大物で、ラスベガスのカジノビジネスを作り上げた“ビジネスマン”がマイヤー・ランスキーです。
このマイヤー・ランスキーが自らの人生を振り返りながら述懐する形で描かれるのが、この映画『ギャング・オブ・アメリカ』。
1910年代から1980年代まで、アメリカの裏社会の歴史を振り返り、ギャングの大物であり、殺人者であり、夫であり、父親であり、愛国者でもあったランスキーの姿を通じて、男の生き様を描き出しています。
STORY
1981年、売れない作家のデヴィッド・ストーンはマイヤー・ランスキーから自分の伝記を書くよう依頼される。ランスキーの屋敷のあるマイアミを訪れたストーンは、彼の行きつけのダイナーでロングインタビューを行うことに。ランスキーは1912年にロシアからニューヨークにやってきたこと、殺し屋集団のマーダー・インクを組織したことなどを語り始める。そんなランスキーは自らを「ビジネスマンだ」と語るが、今でもFBIに狙われていた……。
解説
この映画の原案・監督・脚本を務めた、エタン・ロッカウェイ。彼の父親であるロバート・ロッカウェイは、実際に80年代にマイヤー・ランスキーへインタビューを行ったロバート・ロッカウェイ。犯罪の歴史と裏社会の専門知識を持つ歴史研究家です。
この作品の主人公であるデヴィッド・ストーンは、ロバート・ロッカウェイの体験を反映させたキャラクターになっています。
エタン・ロッカウェイ監督は、若い頃からギャングの危険な生活に興味を持っていたそう。
20世紀、発展していくアメリカのアンダーグラウンドで、ある種の経済を発展させてきたギャングというのは、現代人の目から見ると、ある種のファンタジー的存在。日本人にとってのサムライとかニンジャに近いものなのかもしれません。
マイヤー・ランスキーは、そんな20世紀のギャング社会を生き抜いてきた、生き証人でもあります。
酒の密輸ビジネスや地下賭博場に関わり、殺し屋集団マーダー・インクを組織し、全米犯罪シンジケートを立ち上げ、ラスベガスを賭博の聖地に育てあげ、キューバでも賭博ビジネスを立ち上げ、イスラエル政府に多額の資金を提供した……。
これだけの経歴を持ちながらも、微罪以外で逮捕を免れてきたランスキーは、マイアミの隠れ家で暮らし、1983年1月に肺がんで死去しました。
隠し資産は3億ドルと言われますが、現在もそのお金は見つかっていないそうです。
本作では、そんなマイヤー・ランスキーをハーヴェイ・カイテルが演じています。
老獪で一筋縄ではいかない曲者ながらも、人間味やカリスマ的な魅力もある老人としてランスキーを見事に演じ、ランスキーという人間の複雑さ、ふてぶてしさ、そして哀しさを感じさせてくれました。
作品情報
『ギャング・オブ・アメリカ』(119分/アメリカ/2021年)
原題:Lansky
公開:2022年2月4日
配給:アルバトロス・フィルム
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
原案:ロバート・ロッカウェイ
原案・監督・脚本:エタン・ロッカウェイ
音楽:マックス・アルジ
出演:サム・ワーシントン/ジョン・マガロ/ハーヴェイ・カイテル/アナソフィア・ロブ/ジャッキー・クルス/デヴィッド・ケイド/デヴィッド・ジェームズ・エリオット/アロン・アブトゥブール/ミンカ・ケリー/シェーン・マクレー/ジェームズ・モーゼス・ブラック/クラウディオ・ベランテ
Official Website:https://gang-of-america.com/
関連商品
Vertical Ent (2021-08-24T00:00:01Z)
¥1,761
GPミュージアムソフト (2007-08-25T00:00:01Z)
¥781
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21T00:00:01Z)
¥1,180 (中古品)
松竹 (2011-10-17T00:00:00.000+09:00)
¥1 (中古品)
(C)2021 MLI HOLDINGS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.