かぐや姫の物語

かぐや姫の物語 (角川文庫)

その、何もかも、他のアニメーション映画とは一線を画した、独自の路線を貫く映像に驚かされた映画、『かぐや姫の物語』

高畑勲監督が8年の製作期間と50億円の総製作費をかけて作り出したこの作品、「なるほど、これはお金も時間もかかるわね」と納得のクオリティを見せてくれます。

しかし、映像に驚かされ、物語の内容に心を動かされながら、映画の最後のエンドクレジットを観ていたのですが、その製作委員会に名を連ねる豪華なメンバーに、まさに度肝を抜かれてしまいました。
某映画会社や某通信会社の役員など、普段はあまり製作委員会のメンバーとして登場しないお歴々が、ずらりと名を連ねていたのです。

日本テレビの会長を務めていた氏家齊一郎氏が“死に土産”として「大きな赤字を生んでも構わない。金はすべて俺が出す」と言ってスタートしたというこの映画の企画。
まさしく、大パトロンとなった氏家氏がが命に代えても責任を持ったからこそ、他のパトロンも参加することになったのでしょう。

責任回避型の製作委員会ではなく、パトロンとして責任をとるための製作委員会、そんな製作体制がとられクリエイターが心血を注いでつくった映画、面白くないわけがありません。

<STORY>

かぐや姫の物語 ビジュアルガイド (アニメ関係単行本)

今は昔。竹取の翁が媼と暮らしていた。ある日翁が山へ行くと、ある一本の竹が輝いており、光り輝くような美しく小さな姫がいた。翁はその姫を連れ帰り、媼とともに自分たちの手で育てることにする。捨丸ら、山の子どもたちと山を駆け回りのびのびと成長した姫だったが、高貴の姫として育てるため、翁は姫を都に連れて行く。姫はその美しさとしなやかさから“なよ竹のかぐや姫”と名付けられ、名だたる公達から求婚を受けることとなる…。

<Cheeseの解説>

ジブリと私とかぐや姫

淡い色を基調にし、水墨画のような柔らかな線で、絵巻物のような美しい世界を見せてくれるこの映画。
それでいて、生命感に満ち、躍動感たっぷりの映像となっているのは、従来のセル画と背景を別々に描く手法ではなく、背景とキャラクターを一緒に描くという、まるで一枚の絵がそのまま動いているような贅沢な手法を用いて作られているから。

普通のアニメーションであれば、一枚の絵で描かれた背景の上に、キャラクターたちだけが動くセル画を重ねて映像を作っていきます。
しかしこの作品では、背景まですべて、キャラクターの動きと共に、一枚一枚描かれているのです。
そのためか、不思議なゆらぎを感じさせる映像となっており、それが物語に曰く言いがたい雰囲気をプラスしています。

音声に関しても、通常の日本のアニメでよく行われる“アフレコ(アフターレコーディング)”ではなく、“プレスコ(プレスコアリング)”という先に声優の声を録音し、その声に合わせて映像を作っていくという手法が採用されています。
朝倉あきちゃんの涼やかで凛とした声がかぐや姫の表情や雰囲気、動きにも影響を与えているのでしょう。
2012年に亡くなった地井武男さんがこの作品の声優として名を連ねているのには、こういう理由があるのです。

それにしても、かぐや姫はなぜ月からやって来て、月に帰っていったのでしょうか。。。
自然あふれる山の中でのびのびと育ったかぐや姫、権力や体制に巻き込まれるどうしようもない男たちの都合に巻き込まれ、大切な想い出の存在だった男性の底の浅さを知ります。

都の豪邸に住むようになっても土や自然を忘れない媼、あるがままのかぐや姫を見守る女童、できる限りの教育は与えようとするものの彼女の根本を変えようとはしない相模。
なりゆきを受入れつつ最良の方法を探していきようとする女性陣に支えられながら、“かぐや姫のために”と言いつつも結局は自分の望みのために状況を変えようとしていく男性陣に嫌気がさしたかぐや姫は、月へ帰って行くのです。

それでも、姫は地球を、地球に生きる人びとを愛している…。

高畑勲監督は、かぐや姫を通して、地球を、地球に生きるすべての人を肯定しているように思います。
どんなに身勝手な人間であっても、愛すべき存在。
それは、ちっぽけな人間を見守る、大いなる地球の意志、とでも言うべきなのかもしれません。

『かぐや姫の物語』(137分/日本/2013年)
公開:2013年11月23日
配給:東宝
劇場:全国にて
原案・監督・脚本:高畑勲
脚本:坂口理子
製作:氏家齊一郎
美術監督:男鹿和雄
音楽:久石譲
主題曲/主題歌:二階堂和美
声の出演:朝倉あき高良健吾地井武男宮本信子高畑淳子田畑智子立川志の輔上川隆也伊集院光宇崎竜童中村七之助橋爪功仲代達矢朝丘雪路
公式HP:http://kaguyahime-monogatari.jp

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