駆込み女と駆出し男

「駆込み女と駆出し男」オリジナル・サウンドトラック

原田眞人×井上ひさし×大泉洋という、意外な組み合わせで江戸時代の離婚模様を描いた映画『駆込み女と駆出し男』
ミスマッチのように思わせつつも、不思議な調和を感じさせるこの作品。

夫との離縁を求めて縁切寺の東慶寺に駆け込んだ女“駆込み女”と、医者見習い、戯作者見習いという職業的にまだまだ駆出しな“駆出し男”との、不思議な“縁”をコミカルに、かつパワフルに表現しています。

女性の権利など認められていなかったように思われる江戸時代にも、自分の足でちゃんと生きようとする女性には、救済の道がちゃんと用意されていたのですね。
なんだか、この映画に登場するほとんどのキャラクターを応援したくなるような、パワーをもらえる作品でした。

<STORY>
鎌倉にある東慶寺は、江戸幕府公認の縁切寺として知られている。天保12年、その東慶寺に、日本橋唐物問屋堀切屋三郎衛門の囲われ者であるお吟と、七里ヶ浜の浜鉄屋の鉄練り職人のじょごという二人の女が駆け込んでくる。お吟とじょごは東慶寺の御用宿、柏屋にいったん身を寄せた。柏屋には主人の甥で、医者見習い、戯作者見習いの中村信次郎が居候していた。柏屋での諸手続きを行ったのち、彼女たちは2年を寺で過ごし、その後晴れて離縁成立となるのだが…。

<解説>

【チラシ3種付、映画パンフレット】駆込み女と駆出し男 監督 原田眞人  キャスト 大泉洋, 戸田恵梨香, 満島ひかり, 内山理名, 陽月華, 神野三鈴, 宮本裕子, 松本若菜,

夫との離縁を望み、縁切寺として知られる東慶寺に駆け込む女たち。
そんな女たちを支えていたのは、お寺に入る前に諸手続きを行う御用宿の面々や寺役人、そして東慶寺の尼僧たちです。

井上ひさしの小説「東慶寺花だより」を原作としたこの映画『駆込み女と駆出し男』は、弱い立場である女性たち、そして彼女たちを親身になって支える人々を描くことで、江戸時代から現代にまで通じる、“女性の生き方”を描き出しています。

また、女たちだけではなく、老中・水野忠邦による厳しい天保の改革の中でも、自由な心を失わずに粋に生きる町民や、クリエイターたちの様子も描かれています。
「南総里見八犬伝」を完成させようとする頑固ジジイの曲亭馬琴、同じく戯作者の為永春水、そして彼らのような戯作者を目指す中村信次郎。

彼らは、権力と正面から戦うのではなく、洒落に富んだ洒脱な言葉で自分の信念を口にします。
端唄や短歌などから言葉を巧みに引用し、自分の本分で人々を丸め込む信次郎の姿は、なかなか天晴れ。
原田眞人監督は、“創作者たるもの、権力に反抗する時はこうやるんだよ”と、自分の本来の表現方法で暗に権力への反抗心を示してみせる姿を、信次郎を通して描いてみせたのかもしれません。

ただ、惜しむらくは、その豊かな表現が、現代人にはどうにも伝わりにくいだろうと言うこと。
信次郎の口から次々に飛び出す引用に満ちた表現はとても素晴らしいのですが、一度耳で聞いただけでは理解しにくいのも確か。
古典からの引用表現などに関しては、字幕で見せるなどしてくれたほうが、その物語の世界をより理解できたような気もします。

でもまあ、そんなの粋じゃないですけどね…。
だからこそ、監督もわかったうえで、今の形にしているのかもしれませんが。。。

『駆込み女と駆出し男』(143分/日本/2015年)
公開:2015年5月16日
配給:松竹
劇場:全国にて
原案:井上ひさし
監督・脚本:原田眞人
音楽:富貴晴美
出演:大泉洋戸田恵梨香満島ひかり内山理名陽月華キムラ緑子木場勝己神野三鈴武田真治北村有起哉山崎一麿赤兒中村嘉葎雄樹木希林堤真一山崎努大鳥れい赤間麻里子玄里でんでん井之上隆志宮本裕子中村育二松本若菜橋本じゅん
Official Website:http://kakekomi-movie.jp/

「駆込み女と駆出し男」オリジナル・サウンドトラック
SHOCHIKU RECORDS (2015-05-13)
売り上げランキング: 2,602
東慶寺花だより (文春文庫)
井上 ひさし
文藝春秋 (2013-05-10)
売り上げランキング: 364
ぶどうのなみだ【初回限定仕様】 [Blu-ray]
アミューズソフトエンタテインメント (2015-03-18)
売り上げランキング: 15,780
しあわせのパン [DVD]
しあわせのパン [DVD]

posted with amazlet at 15.06.03
アミューズソフトエンタテインメント (2012-07-06)
売り上げランキング: 4,935
スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です