【映画レビュー】ハンナ / Hanna
ピーター・ジャクソン監督の映画『ラブリーボーン』で、お魚みたいな名前の女の子、スージー・サーモンちゃんを演じたシアーシャ・ローナン。
『ラブリーボーン』ではスタンリー・トゥッチ演じる変態オトコに殺された1994年生まれの彼女、本作『ハンナ』では顔色一つ人を殺しまくる、16歳の殺人マシーンを演じています。
うーん、さすが女優。16歳とはいえ、いろいろな表情を持ってますね。
私は、今作の彼女より前作の彼女の方が好きだけど。。。
<STORY>
フィンランドの奥地で、父親のエリックと二人で暮らしている16歳の少女・ハンナ。エリックは元CIAエージェントで、彼女に戦闘技術や語学など、戦うためのすべてを教え込んでいた。ある決意を胸に、ハンナは初めて父親のもとを離れる。彼女はCIAのマリッサ・ヴィークラーという女性捜査官を殺すため、わざとCIAに捕われる。そのままマリッサを殺したハンナは、なんなく基地を脱出する。しかし、マリッサは実は生きていて、逃走するハンナを追い始める…。
<解説>
2007年、キーラ・ナイトレイ主演の映画『つぐない』で、無垢で潔癖な妹役を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン。
『つぐない』で彼女の透明な魅力を引き出したのが、本作『ハンナ』の監督も務めているジョー・ライトです。
本作でも、シアーシャの演じるハンナは、とても透明。
透き通るように白い肌の色、北欧系らしい淡い髪、あるのかないのかわからない薄い眉毛。
この眉毛が、個人的にはどうも。。。
なんだか、シアーシャの魅力が半減している気がします。
そう言えば、『つぐない』でも、彼女が演じた妹はなんだか色素の薄そうなイメージだったので、ジョー・ライト監督はシアーシャに真っ白なイメージを持っているのかもしれません。
このハンナ、色素も薄く、人間離れしていて、感情をあまり外に表さないので、今ひとつ魅力が伝わりづらいのです。
(もちろん、そのすべてに理由はあるのですが…)
ゆえに、どうも観ていてもヒロインに感情移入できず、不完全燃焼感が残ってしまったのでした。。。
どうしてハンナがケイト・ブランシェット演じるマリッサを追っているのか、エリック・バナ演じる父親はどうしてあんな人里離れたところでハンナを育てたのか、ストーリーのキモとなるこの二つの謎も、提示のされ方がわかりづらく、観ている観客には「???」と、疑問ばかりが残ってしまったり。
説明は少なく、映像はスタイリッシュに、構成はタイトに、という監督の意図が、どうも裏目に出てしまった気がします。
でも、ケミカル・ブラザーズが手がけた音楽などは面白く、ハンナがCIAの施設から脱出するところなど、かなりノリノリで楽しめました。
あそこは映像もかっこ良かったなあ。
それに、ハンナ以外のキャラクターは、けっこう魅力的なのです。
特に、ケイト・ブランシェット演じるCIAのビッチ、マリッサなど、その人間くささや自分勝手さが映画の登場人物としてはかなりいい感じなのです。
ハンナに人間味が感じられない分、マリッサが人並みはずれて人間くさく感じてしまったのかもしれません。
うーん、個人的に期待値が高かった分、点が辛くなってしまいました。
でも、すべての謎が明らかになり、ハンナの冒険の輪がぴったりと閉じるラストシーンは、とてもよく出来ていると感じました。
でも、それだけにね。。。
あの可愛いシアーシャを、もっと可愛く撮って欲しかった。。。
せめて眉毛だけでも、描いて欲しかった。。。
『ハンナ』(111分/アメリカ/2011年)
原題:Hanna
公開:2011年8月27日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
監督:ジョー・ライト
音楽:ケミカル・ブラザーズ
出演:シアーシャ・ローナン/エリック・バナ/ケイト・ブランシェット/オリヴィア・ウィリアムズ/トム・ホランダー/ジェイソン・フレミング/ミシェル・ドッカリー/ジェシカ・バーデン
公式HP:http://www.hanna-movie.jp/
ホステス (2011-07-13)
売り上げランキング: 24614
Sony UK (2011-06-28)
売り上げランキング: 38118
売り上げランキング: 35645
売り上げランキング: 9326