【映画レビュー】ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 ／ Guardians of the Galaxy Vol. 3

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのシリーズ第3作となる本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。

なのですが、時系列的に『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、ついでに『ソー:ラブ&サンダー』と『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル』後の物語ということで、前2作とは大きな違いが生まれています。

スター・ロードことピーター・クイルとガモーラとの関係や、スター・ロードとマンティスとの関係なども大きく変わっているので、シリーズを追っていない人にはちょっと難しいかも……。
でも、GotGメンバーのファミリーとしての結束や、それぞれ唯一無二の個性を持ったはみ出し者のメンバーたちが家族になっていく様子などは、まさにシリーズの根幹とも言えるテーマを現しているとも言えます。

失敗してもいい。ファミリーたちが支えてくれる。一度はシリーズをクビになりかけたジェームズ・ガン監督の、ファミリーへの愛が伝わってくるような感動作になったりもしているのです。

ガモーラと離れ離れになり、ピーター・クイルは失意の日々を送っていた。そんな時、ソヴリンの戦士がノーウェアを襲撃し、ロケットが瀕死の重傷を負う。彼の体内にはオルゴコープ社の科学者ハイ・エボリューショナリーによりキルスイッチが埋め込まれており、治療ができない状態だった。ロケットを救うため、ガーディアンズはオルゴコープへの潜入を画策。それを手助けしたのは、今や宇宙海賊ラベジャーズの一員となったガモーラだった。

「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの32作目にしてMCUフェーズ5の2作目となる本作。

本作のキーマンとなるのは、宇宙最凶アライグマこと、ロケット。
アライグマの体をもつ彼が、なぜあのように高い知能を持ち、人語を解するのか、その謎が明かされていきます。

ロケットはグルートたちと出会う前、オルゴコープ社のハイ・エボリューショナリーにより遺伝子操作されていたのでした。
ソヴリンの戦士・アダムの襲撃により、瀕死の状態となったロケットは、自らの過去を思い出します。自分と同様にハイ・エボリューショナリーによって作り上げられ、そして殺されたカワウソのライラ、セイウチのティーフ、ウサギのフロアたちのことを……。彼らは、ロケットとともにハイ・エボリューショナリーの元から逃げ出そうとして、殺されてしまいます。

かつて仲間を死に追いやることになったロケット。そんな彼の命を救うため、今の仲間たちが、命をかけてハイ・エボリューショナリーに立ち向かっていました。
ロケットはそのことに気付き、ふたたび生きる気力を取り戻します。仲間を守るためなら、命をかけられる。それはかつての仲間たちも、今の仲間たちも、同じなのだと……。

そうやって、彼は自分の過去に決着をつけて、新たな仲間たちのためにふたたび戦いに身を投じるのでした。

というような、感動的な内容を、ジェームズ・ガン監督はどこまでもゆるく、そしてポップに描いています。
過去の不謹慎発言で一度はクビになりかけ、ドラックスを演じるデイヴ・バウティスタほか、クリス・プラットやブラッドリー・クーパー、ゾーイ・サルダナらの署名によって監督の座に復帰できたジェームズ・ガン監督にとって、仲間というのは命をかけても守りたいものになったのかもしれません。

それぞれの決断を尊重しあう仲間たち。離れていく分には応援するし、一緒にいる分には全力で守る。
去っていってもいいし、新しい仲間だって、尊重していく。
ラストシーンには、そんな思いが込められているように思えてなりません。

それにしても、フェーズ5に入ったこの「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズ、これからどうなって行くのでしょうか。
かつての主要メンバーが抜けていきますが、どんどん新しい魅力的なキャラクターも生み出されていきますね。本当に、目が離せません。