ジ、エクストリーム、スキヤキ

ジ、エクストリーム、スキヤキ オリジナル・サウンドトラック

窪塚洋介井浦新(ARATA)と言えば、2002年の映画『ピンポン』を思い出す人も多いのではないでしょうか。

フレッシュで不思議な魅力を持ったペコ(窪塚洋介)と、寡黙で無愛想なスマイル(ARATA)。
そんな二人のライバル関係と戦いの模様、CGを使った演出が当時としては斬新で、新しい青春映画の形を感じさせられたものです。

そんな二人が11年ぶりに共演してみせた映画『ジ、エクストリーム、スキヤキ』

30代に入ったこの『ピンポン』の二人が共演していることで、より物語の持つテーマが伝わってくる前田司郎の初監督作です。

<STORY>
大学卒業から15年。洞口はかつての親友だったが、あることをきっかけに絶縁状態となった大川のもとを訪れる。あっけらかんとした洞口に戸惑いながら、大川はだんだんと洞口を受入れていく。お互いに人生に行き詰まりを感じていた大川と洞口は、なぜか海へブーメランを飛ばしにいくことに。大川の恋人・楓と、二人の大学時代の女友達・京子を誘い、彼らは車で海へ向かう。どこかでスキヤキを食べようと、スキヤキ鍋も積み込んで…。

<Cheeseの解説>
まだ何者にもなっていないが故に、なんにでもなれると思っていた学生時代。
毎日は楽しいことばかりで、未来は輝かしいものだとみんな信じていた気がします。

しかし、社会に出て10年以上も経つと自分の限界が見えてきて、学生時代に思い描いていた人生なんて、夢でしかなかったことに気付くのです。
若くして死んだ友人のことを思い出しては切なくなったりもし…。
何もかも思いどおりに行かず、自ら死のうとしても、自殺すら上手にできない自分に絶望し…。

この映画の主人公、洞口(井浦新)は、まさにそんな人物。

自殺もできず、うまく生きることもできず。
そんな状態の中、かつて輝くようにまぶしい日々を過ごした大川(窪塚洋介)のもとに会いに行くのです。

大川も、洞口と同じようなパッしない日々を送り、「映画を作る」などと口では大きなことを言いつつも、結局はアルバイト生活をしています。

そんなこんなで、30代後半になって詰みかけの人生を歩む二人が、久しぶりに出会い、車で旅に出るのです。
そして一緒に時間を過ごすうち、わだかまりもだんだんと溶けていきます。。。

この映画の原作者であり、監督でもある人物は、劇団・五反田団を主宰し、『横道世之介』などの映画脚本なども務める前田司郎
主人公達と同世代だからこそ、突拍子がないながらも、どこかリアリティのある作品に仕上がっているのでしょう。
この映画、中年になりかけつつも大人になりきれないままでいる同世代へのエールと言えるでしょう。

あ、そうそう、『横道世之介』の監督である沖田修一、主演の高良健吾が意外なところでゲスト出演しています。
なかなかに可愛らしく、思わずニヤリとさせられるシーンでした。

『ジ、エクストリーム、スキヤキ』(111分/日本/2013年)
公開:2013年11月23日
配給:スールキートス
劇場:テアトル新宿ほか全国にて
原作・監督・脚本:前田司郎
出演:井浦新窪塚洋介市川実日子倉科カナ黒田大輔/西田麻耶/内田慈/安倍健太郎/高良健吾沖田修一
公式HP:http://ex-sukiyaki.com/

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監督:前田司郎 音楽:岡田徹、ムーンライダーズ
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