【映画レビュー】おとなのけんか / Carnage
子どものけんかが発端で、おとなたちが大げんかを繰り広げることとなる映画『おとなのけんか』。
この作品はロマン・ポランスキー監督がヤスミナ・レザの大ヒット舞台を映画化したものです。
ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツというアカデミー賞受賞俳優に、ジョン・C・ライリーというアカデミー賞ノミニー、4人の芸達者な俳優を揃えた会話劇。
丁々発止のやりとりに、敵が味方になり味方が敵になり、普段からのパートナーへの不満がここぞとばかりに爆発したり、人間の愛すべき醜さが、よーく表現されています。
“大山鳴動して鼠一匹”という言葉がぴったりのラストも微笑ましく、ポランスキー監督の人の悪さが楽しめる一作だと思います。
<STORY>
ブルックリンに暮らすマイケル&ペネロペ・ロングストリート夫妻のもとを、アラン&ナンシー・カウアン夫妻が訪れた。カウアン夫妻の息子・ザッカリーがロングストリート夫妻の息子・イーサンを殴り、前歯を折らせたことについての話し合いのためだった。しかし、弁護士のアランは仕事の電話に忙しく、話合いは進まない。和やかだった話し合いはだんだんと険悪な雰囲気となり、話はあちこちに広り、思わぬ方向に攻撃が広がっていく…。
<解説>
本作の中でバトルを繰り広げるのは、マイケル&ペネロペ・ロングストリート夫妻VSアラン&ナンシー・カウアン夫妻。
マイケル・ロングストリートをジョン・C・ライリーが、ペネロペ・ロングストリートをジョディ・フォスターが、アラン・カウアンをクリストフ・ヴァルツが、ナンシー・カウアンをケイト・ウィンスレットが演じています。
ロングストリート夫妻の職業が金物屋&作家という“リベラル中流層”なのに対し、カウアン夫妻の職業は弁護士&投資ブローカーという“プチセレブ層”。
最初は和やかに相談していたものの、時間が経つうちに4人それぞれの心の中に、人を小バカにしている悪徳弁護士への苛立ちが募ってきたり、インテリ気取りの作家をやり込めたくなったり、自分の妻にムカついたり、自分の夫へのかねてからの不満が爆発してしまったりします。
彼らの笑顔の仮面が剥がれ落ちて行く様子がなんとも面白く、声をあげて大笑いしてしまいました。
もともとが大ヒットしている舞台劇と言うこともあり、それほど斬新なものはないのですが、4人の名俳優たちが4つどもえで口角泡を飛ばして戦う様子は、それだけで見る価値アリ。
絶妙な間の取り方や、かすかな表情の変化など、演技のお手本としても見ることができるのではないでしょうか。
いやー、子どものけんかにおとなが出て行っても、あんまりいいことないですね。
子どもやペットたちの方が、しっかりしてたりするのですから。
『おとなのけんか』(79分/フランス=ドイツ=ポーランド/2011年)
原題:Carnage
公開:2012年2月18日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:TOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開
原作・脚本:ヤスミナ・レザ
監督・脚本:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスター/ケイト・ウィンスレット/クリストフ・ヴァルツ/ジョン・C・ライリー
公式HP:http://otonanokenka.jp/
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