映画「ビリギャル」

映画 「ビリギャル」 オリジナル・サウンドトラック

日本人の子どもにとって、受験って、ある意味“人生最初の試練”みたいなところがあると思います。
とりまく環境によって、難易度などは人それぞれ変わってくるでしょうが、自分が意識をしっかり持って、自分の力で人生を切り拓いていくための初めての関門が、受験というものなのです。

この映画『ビリギャル』は、その“人生最初の試練”に真剣に立ち向かった女の子の物語。
少女がまっとうな努力を重ねて人生を切り拓き、周囲の人々にも影響を与えていく様子は、観る者の胸に熱く迫ってくるものがあります。

<STORY>
エスカレーター式の女子校に通う高校2年生のさやかは楽しいことばかり追い求め、まったく勉強しなかったギャル。停学になったさやかは、母親のああちゃんから勧められ、塾へ入ることに。塾講師の坪田は、彼女のギャルファッションやノリに驚きつつも、彼女の志望大学を慶應大学に設定するのだった。偏差値30で学年ビリ、学力小4レベルのさやかだったが、坪田の励ましと的確な指導を受けて真面目に勉強し、だんだんと学力を上げていく。

<解説>
この映画『ビリギャル』
イロモノっぽいベストセラー書籍「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」の映画化で、てっきりイロモノかと思っていたわけです。
しかし、映画を観てみると、その印象はガラリと覆されました。

この映画で描かれているのは、ちょっと崩壊気味の家庭で、ちょっとネグレクト気味に育てられた女の子が、良い指導者との出会いによって自らの努力で変わっていく物語です。
小学校4年レベルの学力である今の自分から変わろうとし、そのために友人との付き合いも制限し、ファッションや髪型も変え、とにかく努力に努力を重ねて受験の成功を目指すのです。

“ギャル”であることがアイデンティティであるはずなのに、受験勉強のためにそれさえも投げ打って受験勉強に打ち込む彼女の努力の様子には、誰もが感嘆せざるを得ないでしょう。

この作品に登場する主人公のさやかちゃん、確かに恵まれている点も多いです。
そもそも、父親が自営業でそこそこ成功していて、もともと中高一貫のお嬢様学校に通っていて、慶応大学に行こうと決めて、そこに合格すれば通わせてくれるだけの財力がある。
母親も娘の塾費用のために、パートをして支えてくれようとしている。
そして、自分の性格や学力に合わせて個別指導してくれる、自分にあった指導者に会えた。
確かに、これだけ恵まれた条件は、誰にでも揃っているわけではありません。

でも、何より彼女が素晴らしいのは、素直だったこと。
「慶応大学に合格しよう」という、当初の彼女の学力から見れば夢のような大きな目標を疑うことなく受け入れ、それを実現するために、塾の先生を信じてまっすぐに努力を重ねたのです。
この“素直さ”こそが、彼女の一番の財産で、彼女が慶応受験に成功した一番の原因なのだと思います。

土井裕泰監督は彼女の努力の模様を、奇をてらうことなく、まっとうに、丁寧に描いていきます。
努力に近道はなく、寝る暇を惜しんで勉強する彼女の姿を見れば、誰もが応援したくなります。
主人公のさやかを演じた有村架純も、格好こそギャルで露出も多いものの、もともとは純粋で素直なさやかの性格を、まっすぐに表現していると思います。

だからこそ、さやかの努力が身を結んだ時、これまでの彼女の頑張りを見守ってきた観客は、ついつい涙をこぼしてしまうのです。

この映画は、無責任に「頑張れば夢は叶うよ!」とただ前向きなメッセージを発しているのではありません。

今いる場所がどんなに低い位置でも、高い目標を掲げることはできる。
でも、その目標を達成するためには、自分自身のアイデンティティを変えるほどの努力が必要なこともある。
そして、それだけの努力を積み重ねてその目標を達成した暁には、昔の自分からは考えられないほど、高い位置に行くことができる。

この映画が教えてくれるのは、人生を切り拓いていくための一つの方法なのです。

この映画、中学生くらいの時に観たかったと思う大人、けっこう多いのではないでしょうか。
そういう意味では、文科省推薦映画にしてもいいくらいの、素晴らしい青春映画だと思います。

映画『ビリギャル』(117分/日本/2015年)
公開:2015年05月01日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:坪田信貴
監督:土井裕泰
脚本:橋本裕志
音楽:瀬川英史
主題歌:サンボマスター
出演:有村架純伊藤淳史野村周平松井愛莉大内田悠平/奥田こころ/あがた森魚安田顕阿部菜渚美山田望叶矢島健一中村靖日峯村リエ蔵下穂波吉田羊田中哲司金子海音/根本真陽/川上凛子
Official Website:http://birigal-movie.jp/

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