【映画レビュー】アメイジング・スパイダーマン2 / The Amazing Spider-Man 2
実は、マーク・ウェブ監督×アンドリュー・ガーフィールドによりリブートされた、前作『アメイジング・スパイダーマン』には、あんまりピンと来ず、
「うーん、なんか私の好きなスパイダーマンと違う…。スパイダーマンは、やっぱりサム・ライミ監督とトビー・マグワイアの前シリーズじゃないとね」
などと思っていたのです。
でも、本作『アメイジング・スパイダーマン2』を観て考えを変えました。
マーク・ウェブ監督、素晴らしい!
“スパイダーマン”の映画である以上、スパイダーウェブを利用した“スパイディ・ダイビング”など、アクションや映像が素晴らしいのは最低条件。
でも本作は、中盤以降のスパイダーマンVSエレクトロの戦い(特に発電所の戦い)は、音楽、映像すべてを含めて完全な完成度だと思います。
さらに、何よりも素晴らしいと思ったのは、そのドラマ性。
スパイダーマンことピーター・パーカーとガールフレンドであるグウェン・ステイシーに、型にはまらない自由な考え方を与え、自分自身の選択で新たな人生を選ばせているのです。
ニューヨークの“親愛なる隣人”たるスパイダーマンに、新たな人生を選ぼうとさせるとは…、そして、様々な事件を経て、あの生き方を選択させるとは…。
新たなピーター・パーカー像を見ることができる本作、リブートした“現在の”スパイダーマンにふさわしい物語だと思います。
<STORY>
高校卒業の日、ピーター・パーカーはスパイダーマンとしてオズコープ社の電気技師・マックスを助ける。誰からも相手にされなかったマックスは、その日からスパイダーマンを敬愛するようになる。その頃、ピーターの幼なじみであるハリー・オズボーンがNYに戻り、巨大企業オズコープ社を継ごうとしていた。ある日、オズコープ社で事故が発生し、マックスが感電してしまう。死んだと思われたが、電気を操る“エレクトロ”として復活し…。
<解説>
カメラマン志望の青年ピーター・パーカーが、“親愛なる隣人”として愛されるスパイダーマンになってしばらく経ちました。
そして、いよいよやって来た高校卒業の日から、この物語は始まります。
本作では、前作ではっきりと明らかにされなかったピーターの両親が家を出た事情が明かされます。
科学者として研究を続けて来たピーターの両親は、その研究でピーターにまで危害が及ぶことを懸念して、家を出ます。
しかし、ピーターは「親に捨てられた」と思い込み、長年生きてきたのでした。
この『アメイジング・スパイダーマン2』の物語は、父親不在の物語と言えます。
ピーターには幼い頃から父親もおらず、エマ・ストーン演じるグウェン・ステイシーの父親は前作で命を落としました。
デイン・デハーン演じるハリー・オズボーンも、幼い頃から「父親に捨てられた」と思って生きてきて、久しぶりに再会した途端、父親を病気で亡くしてしまうのです。
グウェンはともかく、ピーターもハリーも、父親の愛を知らずに大人になった少年と言えるでしょう。
そして、今作のヴィランであるエレクトロ。
ジェイミー・フォックス演じるエレクトロことマックス・ディロンは、天才的な技術者ながらも、誰からも存在を認知されない存在。
会社でも名前を覚えてもらえず、友人もいない彼は、一度会っただけで名前を覚えてくれたスパイダーマンに、「初めて自分のことを認めてくれた」という感動を覚え、度を超えた愛情を抱いてしまうのです。
そして、可愛さ余って憎さ百倍、エレクトロはスパイダーマンの敵となります。
一度、スパイダーマンとの戦いで窮地に陥ったエレクトロは、ハリー・オズボーンに窮地を救われ、彼とともにスパイダーマンにさらなる戦いを仕掛けていきます。。。
父親から捨てられたと思い込むピーターとハリー、誰からも認められないエレクトロ。
愛と承認を求める男たちが、激烈な戦いを繰り広げるのです。
決戦の場にはニューヨークの発電所が選ばれるのですが、戦いに出向こうとするスパイダーマンに、グウェン・ステイシーが付いてきます。
実は理系の秀才で一度はオズコープ社に採用された彼女、自分の科学的知識を活かして、スパイダーマンを助けようとするのです。
どんなにスパイダーマンが付いて来ないよう彼女を止めても、彼女は聞きません。
ニューヨーク市民として、自分の住む街を守るため、スパイダーマンを助けるため、自分の能力をきっちり発揮しようとするのですね。
男性たちの戦いに臆することなく参加し、自分の“やるべきこと”を果たそうとするグウェンはまさに現代的な強い女性と言えるでしょう。
このあたりが、前シリーズでスパイダーマンに守られてばかりだったメリージェーンと、グウェンの違いかもしれません。
この映画『アメイジング・スパイダーマン2』、劇判音楽も素晴らしいです。
音楽を担当したハンス・ジマーは、ファレル・ウィリアムス、ジャンキーXL、ジョニー・マー(ザ・スミス)、マイケル・アインジガー(インキュバス)、アンドリュー・カヴィンスキー、スティーヴ・マッツァーロら、現在の音楽界を牽引するアーティストらと共に“ハンス・ジマー・アンド・ザ・マグニフィセント・シックス”というバンドを結成し、この映画の音楽を作っていったのです。
映像とぴったりマッチし、その迫力をさらに盛り上げるスコアがたっぷりのサントラ、これも買いの一枚だと思います!
別コラム:オトコに見せたいこの映画『アメイジング・スパイダーマン2』
『アメイジング・スパイダーマン2』(143分/アメリカ/2014年)
原題:The Amazing Spider-Man 2
公開:2014年4月25日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
原案:ジェームズ・ヴァンダービルト
製作:アヴィ・アラッド/マシュー・トルマック
監督:マーク・ウェブ
脚本:アレックス・カーツマン/ロベルト・オーチー/ジェフ・ピンクナー
撮影:ダニエル・ミンデル
音楽:ハンス・ジマー
出演:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/ジェイミー・フォックス/デイン・デハーン/ポール・ジアマッティ/マーティン・シーン/サリー・フィールド/クリス・クーパー/キャンベル・スコット/エンベス・デイヴィッツ/コルム・フィオール/マートン・チョーカシュ/マイケル・マッシー/フェリシティ・ジョーンズ
公式HP:http://www.amazing-spiderman.jp/
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