【映画レビュー】午後3時の女たち / Afternoon Delight
アメリカで人気のTVシリーズ「Six Feet Under」などの脚本を手がけるなど、10年以上テレビ業界で活躍してきたジル・ソロウェイ監督の長編映画デビュー作『午後3時の女たち』。
あのクエンティン・タランティーノが“2013年ベスト映画10”に選出したことでも話題の、イタいアラフォー女性の冒険を描く一作。
そろそろ若さを失い、容貌も衰えてきたけれど、でも女としての自信はまだ持っていたい…。
そんなアラフォー女性の焦りが招いたトラブルを、ユーモアを交えて描く、ビターで愛しい一作です。
STORY
優しい夫とかわいい息子と暮らす主婦・レイチェル。一見何不自由のない生活を送る彼女は、夫とセックスレスであることに不満を持ち、女としての漠然とした焦燥感を抱いていた。マッケナという若く美しいストリッパーと出会ったレイチェルは、宿無しになったマッケナを家に住まわせることに。ある日マッケナは、自分はセックスワーカーをしているとあっけらかんとレイチェルに告げる。レイチェルは娼婦であるマッケナにさらに惹かれていくが…。
解説
もう若くはないし、そこまでの美人でもないアラフォー主婦。
立派な家もあって、稼ぎのいい愛する夫もいて、かわいい子どももいて、生活には不自由しない。
でも、何かが足りない。セックスだって最近していないし、めくるめく快感って感じたことあったっけ?
私、このままで終わっていいの?
というような、贅沢な悩みの中でもがく主婦・レイチェル。
カウンセラーにセックスレスの悩みを相談し、「セックスするなら午後3時がいいの」と言っちゃったりも。
心のどこかで、ハーレクインのようなめくるめく恋愛や、女性向けポルノのようなソフトなエロスを望んでいたりするのです。
そんなレイチェルは、ストリップクラブで知り合ったストリッパー、マッケナを家に連れてきてしまいます。
若く、かわいく、奔放で刺激的なマッケナは、「私、セックスワーカーなの」とあっけらかんと言い放ちます。
セックスワーカーとは、つまりコールガール、娼婦、売春婦。
発展的でいたいと思いつつもなんだかんだ言って保守的だったレイチェルは、驚きつつも、彼女に惹かれ、そして心のどこかで蔑みはじめます。
やがて、ミラー効果なのか、レイチェルのその想いはマッケナに通じ、レイチェルは手痛いしっぺ返しを受けるのですが…。
キャスリン・ハーンは、煩悶するレイチェルを、ユーモラスに、でもちょっと痛々しく演じています。
まあ、いろいろと滑稽な部分も多いのですが、彼女の滑稽さを笑い飛ばすことができる人は、なかなかいないかもしれません。
みんな多かれ少なかれ、いくつになっても“まだ見たことのない私”を探しているのですから…。
そして、レイチェルに見たことのない世界を教えるストリッパー・マッケナを演じているのは、イギリス娘のジュノー・テンプル。
奔放で素直で可愛くて、でも油断していると手を噛まれるような、人になつくようでなつかない小動物のように、マッケナをふてぶてしく演じていました。
個人的には、『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』で演じていたぼーっとした感じのアンナ王女のイメージが強く、世間知らずのお嬢様のように思っていたのですが、こういう奔放な役も似合うのですね。
すっきりとスリムなせいか、裸になってもあまりエロスがなく、可愛らしい点も素敵でした。
彼女、これからどんどんいい女優さんになっていきそうで、これからが楽しみです。
ある意味、女性のミドルエイジ・クライシスを描いたとも言えるこの作品、痛々しくも可愛らしく、どこか心にひっかかる、ちょっと心に痛い一作です。
作品情報
『午後3時の女たち』(98分/アメリカ/2013年)
原題:Afternoon Delight
公開:2015年11月07日
配給:アット・エンタテインメント
劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開
監督・脚本:ジル・ソロウェイ
製作総指揮:ダグ・マンコフ
製作:セバスチャン・ダンガン
撮影:ジェイムズ・フローナ
編集:キャサリン・ハイト
音楽:クレイグ・ウェドレン
出演:キャスリン・ハーン/ジュノー・テンプル/ジェーン・リンチ/ジョシュ・ラドナー/キーガン=マイケル・キー/アニー・マモーロ/ノア・ハープスター/ジョシュ・スタンバーグ/ジョン・カペロス
Official Website:http://gogo3ji.com/
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