一分間だけ／只要一分鐘

2014/4/25 外国映画あ行, 映画レビュー

ファッション誌の編集者という華やかな仕事。
火事が得意で優しい恋人。
自分を慕ってくれる可愛らしいペット。
それらに取り囲まれた、海の近くのステキな家でのナチュラルな暮らし。

ある意味“働く女性の理想像”のような生活をしている女性が主人公の日本・台湾の合作映画が、本作『一分間だけ』です。

まあ、ファッション誌の編集者が主人公という点で、じゃっかん古い感覚の作品のような気がしますが、主人公の選択は、なかなか斬新。
とはいえ、愛するペットと一緒に暮らしている人は、彼女の選択にも納得できるのでしょうか。

＜STORY＞
ゴールデンレトリバーのリラを飼い始めたワンチェンは、念願のファッション雑誌の編集者となる。リラのために恋人・ハオジエと郊外の一軒家に引っ越すが、すぐに昇格して仕事が忙しくなり、ハオジエばかりにリラの世話をさせることに。仕事中心の生活でハオジエともすれ違いの日々が続き、二人は破局。リラと新生活を始める。しかしリラが重い病気に冒されていることを知り、ワンチェンは残された時間をリラと一緒に過ごそうと決める…。

＜Cheeseの解説＞
チャン・チュンニンが演じている、美しく才能あふれる編集者・ワンチェンが主人公のこの映画。

このワンチェン、とてもステキなのですが、映画の序盤の方はかなりイヤな女です（笑）。
犬を勝手に連れて帰って来たくせに世話は恋人任せ。
ちょっと忙しくなってくると恋人との約束も果たさず、恋人の都合も顧みず、ピクニック中ですら仕事仕事。
ちょっと恋人が文句を言おうものなら「あなたは私のことをちっともわかってない！　あなたの方がヒマなのに！」とキレる。
ちょっと仕事のできる男に言いよられると、恋人よりもそっちとのメールを楽しむ。。。

まあ、そんな感じのある種ダメ人間な主人公なわけですが、犬も鳥のように初めて見た存在を親と信じてしまうのでしょうか、犬のリラちゃんは、こまめに世話をしてくれた恋人のハオジエより、ワンチェンの方に付いていきます。
（ピーター・ホー演じる恋人・ハオジエの立場はまったくない感じですが、まあ、常に女性にくっついて生活しているプチヒモ感もあるキャラクターなので、それもしょうがないのかも。。。）

しかし、そんなダメ人間だったワンチェンですが、リラの病気が発覚し、変わっていきます。
リラのために、生き甲斐だった仕事もほったらかしでリラの世話に明け暮れる、という。。。
なかなかここまで出来る人はいないのではないかと、私なんかは思ってしまうのですが、このあたりは、ペットを看取った経験のある人であれば、共感できる部分なのかもしれませんね。

この映画『一分間だけ』は、ゴールデンレトリバーのリラとの生活を通して、飼い主のワンチェンが成長していく物語です。
台湾のファッション誌編集者のおしゃれライフを光あふれる美しい映像で描きつつ、ペットとの生活の大変さと素晴らしさを教えてくれる映画と言えるでしょう。

『一分間だけ』（112分／日本＝台湾／2014年）
原題：只要一分鐘
英題：A Minute More
公開：2014年5月31日
配給：ティ・ジョイ
製作国：新宿バルト９ほか全国にて
原作：原田マハ
監督：チェン・フイリン
出演：ピーター・ホー／チャン・チュンニン／池端レイナ／ディン・チュンチェン／ホアン・ペイジア
公式HP：http://rira-movie.jp/