【映画レビュー】マトリックス レザレクションズ / The Matrix Resurrections
1999年、その斬新な映像と世界観で、これ以降の映画に決定的な影響を与えた映画『マトリックス』。
2003年に『マトリックス リローデッド』、『マトリックス レボリューションズ』の続編が制作され、長くトリロジーとして認知されてきました。
そして2021年、約20年の時を経て、ラナ・ウォシャウスキーによって制作されたのが、シリーズ第4作となる『マトリックス レザレクションズ』です。
ローレンス・フィッシュバーンやヒューゴ・ウィーヴィングはいないものの、キアヌ・リーブス演じるネオ、キャリー=アン・モス演じるトリニティーはそのまま復活。マトリックスの世界で、彼らの深い愛をふたたび見ることができます。
『マトリックス』第1作のような衝撃はないものの、同時代にこのシリーズを体験でき、クリエイターの苦悩と復活を感じることができたことに、喜びを感じることができる一作でした。
STORY
かつて世界的大ヒットゲーム「マトリックス」を手がけたゲーム・クリエイターのトーマス・アンダーソン。上司からその続編を作るように指示され、苦悩していた。トーマスは同僚のジョシュのお節介で、カフェでいつも見かける美女・ティファニーと会話を交わす。ティファニーは「マトリックス」に出るトリニティーとそっくりだった。世界に違和感を感じ始めたトーマスのところに、謎のメッセージが届き、モーフィアスが現れる……。
解説
約20年の時を経ての「マトリックス」シリーズの新作。
「マトリックス」トリロジーのその後、ネオとトリニティがマシン・シティーでエージェント・スミスを倒してから60年後の世界が描かれています。
現実世界の20年で、多くのものが変わりました。ラリーだった彼女はラナ・ウォシャウスキーとなり、アンディだった彼女もリリーになりました。さらに、今作では姉妹ではなくラナ単独で監督を手がけています。
映画のあり方を変えるような作品を作り上げた彼女たちは、世界からさまざまな評価を得ました。そしてその評価は、時を経てさらに変化していきます。いいようにも、悪いようにも。
この『マトリックス レザレクションズ』では、そんな製作陣の苦悩がうかがえる内容となっています。
作りたい中身なんかないのに、親会社のワーナー・ブラザースからシリーズ第4作の制作を厳命され、従わざるをえない苦悩……。クリエイティブの才能なんかないくせに、上がるであろう収益だけをみてあれこれ言ってくるステークホルダーの有象無象への嫌悪感……。
作品の前半からは、ラナ・ウォシャウスキーのそんな苦労が感じられます。
しかし、伝説的なクリエイターはそんな苦悩や苦労をも、素晴らしい作品に変えてしまいます。
自分がかつてやったことや作ったものが世界を変えてしまったというのは、他者が思う以上に大きなプレッシャーや責任を背負ってしまうことでしょう。
その責任に押しつぶされることなく、その責任をとり、変わってしまった世界で新たな戦いを始められるのが、真の創造者なのかもしれません。
それは、60年前にマトリックスを壊したネオにとっても同じこと。
新たなマトリックスに組みこまれてしまっていたネオは、目を覚まし、新たな戦いに身を投じます。
そしてトリニティーと共に、新たな世界を目指して羽ばたくのです。
トリニティーの愛したものこそが救世主……。
トリニティーは、ラナの分身のような存在だと考えると、彼らの飛翔の意味がわかるような気がします。
作品情報
『マトリックス レザレクションズ』(148分/アメリカ/2021年)
原題:The Matrix Resurrections
公開:2021年12月17日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:全国にて
製作・監督・脚本:ラナ・ウォシャウスキー
音楽:ジョニー・クリメック/トム・ティクヴァ
出演:キアヌ・リーブス/キャリー=アン・モス/ジェイダ・ピンケット・スミス/ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世/プリヤンカー・チョープラー/ニール・パトリック・ハリス/ジョナサン・グロ/ランベール・ウィルソン/ジェシカ・ヘンウィック/マックス・リーメルト/アンドリュー・コールドウェル/トビー・オンウメール/エレンディラ・イバラ/ブライアン・J・スミス/クリスティーナ・リッチ/チャド・スタエルスキ/エレン・ホルマン/テルマ・ホプキンス
Official Website:https://wwws.warnerbros.co.jp/matrix-movie/
関連商品
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21T00:00:01Z)
¥819
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-03-18T00:00:01Z)
¥5,980
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-03-18T00:00:01Z)
¥1,823
¥6,459
ポニーキャニオン (2017-06-02T00:00:01Z)
¥2,118
ポニーキャニオン (2019-08-21T00:00:01Z)
¥2,241
ポニーキャニオン (2020-03-18T00:00:01Z)
¥3,471
ポニーキャニオン (2020-03-18T00:00:01Z)
¥10,447