【映画レビュー】おんなのこきらい
「かわいいは正義」と言うけれど、絶対的な正義なんてこの世にはないのかも…。
『渇き。』のベリーショートヘアが印象的だった『チョコリエッタ』、『劇場版 零~ゼロ~』の森川葵ちゃんが、あまりにも可愛いこの映画『おんなのこきらい』。
それにしても、森川葵ちゃんはあまりにもかわいいので、どんなにめんどくさくてもメンヘラ気味でも過食症でも許される気がします。
これがここまでかわいくない自意識をもてあました子だと、いろいろ叩かれるのでしょう。インターネットとかに、よくいますね。
でも、森川葵ちゃんくらいかわいい子だからこそ、いつも顔だけで判断されてしまって、いろいろこじらせてしまうのかもしれません。
自身もかわいらしい雰囲気を持つ若手女性監督である加藤綾佳監督、おんなのこのかわいさ、めんどくささ、ずるさ、したたかさを、砂糖菓子のような可愛らしい雰囲気の中で、容赦なく見せつけています。
こういう愛のあるいじわるな眼差し、同じ女性である私としては、大好物。
おんなのこのめんどくささ、これからももっと意地悪に描いて欲しいなあ。
<STORY>
かわいいだけが取り柄のキリコ。女の先輩から嫌われているけれど気にしない、男性社員からは可愛がられているからだ。女の子はかわいければすべてが許される。そんなキリコの好きな人は、バーの店長のユウト。はっきりした恋人ではないけれど、彼の家に泊まったりする仲だ。ある日、キリコは仕事でアクセサリー作家のコウタを訪ねる。しかし、コウタにはキリコ必殺の可愛い表情が通じない。彼はキリコの本性を以前から知っていたのだ。
<解説>
女の子と言うものは、かわいくてもかわいくなくても大変なものです。
かわいくなければ、ブスとバカにされ、どんなに頭が良かったり仕事ができたりしても「あー、あの人、頭はいいんだけどね…」と女として見てもらえなかったり。
かわいければ、顔目当ての男がよってきたり、女性から嫉妬されてビッチ扱いされたり、「あー、あの人、顔はかわいいけどね…」と顔だけで判断されて実力を認めてもらえなかったり。
そんなこんなで、平均レベルのルックスのだいたいの女の子は、男性ウケを狙いつつも、女性から嫌われないように「周囲の女ともだちと同レベルな自分」を演出していたりします。
が、この映画の主人公のキリコは、周囲の女性とはレベルが段違いにかわいい女の子。
「お前らと一緒にすんな、ブス」と周囲の女性陣を敵に回しまくり、周囲の男性たちには媚びを売りまくってお姫様みたいに大事にされています。
でも、彼女のまわりによってくるのは、彼女のルックスにひかれる男性ばかりで、彼女の本当に人間性を理解してくれる人はおらず…。
わかって欲しいと思った男性からは、その人間性を認めてもらえず、セフレとしてしか扱ってもらえなかったりするのです。
それに傷ついたキリコは、荒ぶり、男性に媚びることを止めて“本当のアタシ”として生きようとするのですが。。。
この作品、もともとは音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB」の出品作として“ふぇのたす”というバンドの音楽をイメージして作られた自主映画だそうです。
劇場公開が決まり、長編用に再編集したものが劇場で上映されることになります。
(再編集のせいなのか、洋服の繋がりなどにちょっと気になる部分もあったり…)
基本はドラマなのですが、シーンのところどころに“ふぇのたす”のメンバーが出演し、キリコの心象を表すような曲の演奏シーンが挿入されます。
女性一人+男性二人という構成の“ふぇのたす”、キュートな声のガールズボーカルでおんなのこの世界を歌っており、まさにこの映画にぴったり。
まあ、“ふぇのたす”の世界観に合わせて、この映画のストーリーが作られていったということなので、当たり前と言えば当たり前なのですが、この映画の成り立ちを知らずに観ていると、突然歌い出す“ふぇのたす”の存在に「え、この映画ってミュージカルだっけ?」と驚くかもしれません。
この作品、『おんなのこきらい』というタイトルではありますが、おんなのこへの愛にあふれた作品。
キリコだけじゃなく、彼女を敵視する職場の女性先輩、キリコの職場のいい子な後輩、バーの新人バイトちゃん、みーんなめんどくさいし、ずるいし、いじわるだけど、みーんなかわいい“おんなのこ”だと思います。
『おんなのこきらい』(80分/日本/2014年)
公開:2015年2月14日
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
劇場:新宿シネマカリテほか全国にて順次公開
監督・脚本:加藤綾佳
音楽・出演:ふぇのたす
出演:森川葵/木口健太/谷啓吾/井上早紀/増山加弥乃/松澤匠/緑茶麻悠/富永茜/福原舞弓/巴山祐樹/牛丸亮/高木公介
Official Website:http://onnanokokirai.com/
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