【映画レビュー】アダムス・ファミリー / The Addams Family
丘の上の幽霊屋敷で暮らす顔色悪目なアダムス一家。
丸顔にギョロ目短躯なゴメスと、痩身高身長でロングヘアーも優雅なモーティシアのアダムス夫妻。
無表情で弟の拷問をすることが楽しみな娘のウェンズデーに、家に爆弾を仕掛けるのが大好きな悪ガキのパグズリー。
さらに、まるでフランケンシュタインのような大男の執事・ラーチに、手だけのハンド。
住人を追い出そうと不気味な声をあげるオンボロ幽霊屋敷が、彼らの安息の地。
彼らはそこで“不幸せに”(つまりは、幸せに)暮らしているのです。。。
実写版ドラマ、そして実写版映画でもおなじみのアダムス一家が、初めてアニメ映画となってスクリーンに登場した本作『アダムス・ファミリー』。
豪華な俳優陣が結集し、往年のファンをも楽しませてくれるアニメ映画となりました。
<STORY>
結婚式を挙げたゴメスとモーティシアのアダムス夫妻は、ニュージャージー州の丘の上にある屋敷で執事のラーチと共に新婚生活を始めた。夫妻にはウェンズデーという娘とパグズリーという息子も生まれ、平穏に日々を過ごしていた。ある日、霧が晴れ、丘の下に人間の街があることをウェンズデーは知り、人間に興味を抱き始める。その頃、パグズリーの成長を一族の前で披露する「セイバー・マズルカ」という伝統の儀式が近づいてきていた。
<解説>
1930年代に雑誌「ザ・ニューヨーカー」に連載されたチャールズ・アダムスの一コマ漫画。この一コマ漫画に登場するキャラクターたちは、定期的に映像化されています。
最初に映像化されたのは、1964年代の実写テレビシリーズ『アダムスのお化け一家』。
そして、約10年後の1973年にはテレビアニメ化もされています。
その次に映像化されたのは1991年。バリー・ソネンフェルド監督、アンジェリカ・ヒューストン&ラウル・ジュリア主演でホラーコメディ『アダムス・ファミリー』として映画化されました。
そして2019年、この人気キャラクターたちが初めてアニメ映画となりました。
コンラッド・ヴァーノン&グレッグ・ティアナンの監督コンビによってCGアニメの長編映画として製作されたのが、本作『アダムス・ファミリー』です。
ゴメスとモーティシアの結婚式のシーンから始まる本作は、現代のアメリカ社会に生きるアダムス一家の物語を描いています。
愛し合うゴメスとモーティシアはアダムス屋敷の暮らしに満足しているものの、娘のウェンズデーは外の世界が気になるお年頃。丘の下の住宅街に友だちができ、普通の学校に通ったりもしてしまいます。
パグズリーは、剣を使ってその武術の腕前を一族に披露する「セイバー・マズルカ」という儀式が近づいてきますが、まったく気が乗らず、練習をすっぽかしてばかり。マズルカより爆弾の方が好きなのだから、しょうがないのです。
その頃、「セイバー・マズルカ」のためにアダムス家の親戚がアダムス屋敷に集まってくるわけですが、アダムス家の親戚たちは、やっぱり奇妙な人ばかり。
アダムス屋敷の外の世界、丘の下に住む人々は、そんな奇妙な面々が集まるアダムス屋敷に脅威を感じ、彼らを追い出そうとするのですが…。
一般の人々と出会って、ウェンズデーは自分たちがやっぱり変わっていることを知り、でもそれでいいんだということを理解します。
マズルカより爆弾が好きなパグズリーに困っていたゴメスも、パグズリーの活躍を見て、自分が好きなことを貫くのが一番だと気づきます。そしてあるがままのパグズリーを認めるのです。
そして、一般の人々もそう。変わった人たちが近所にいたっていいじゃない、と理解し、彼らと仲良くなるのです。
今作は、ある意味、多様化した現代ならではのストーリーと言えるかもしれません。
隣にどんな人がいるかはわからないけれど、彼らのことをよく知れば、仲良くなることができる。
お互いに助け合って生きることで、お互いの生活が、より魅力的なものになるかもしれない。
だから、先導者に惑わされず、自分の目で見極めよう、と…。
多様化するこの時代だからこそ、製作陣はアダムス一家を現代に復活させたのかもしれませんね。
今回、CGアニメでよみがえったアダムス一家は、かなりオリジナルの絵に忠実だそう。これも、現代のアニメ技術の発達の賜物と言えるでしょう。
現代によみがえった、現代ならではのアダムス・ファミリーの活躍を、ぜひスクリーンで確かめてほしいと思います。
オスカー・アイザック、シャーリーズ・セロン、クロエ・グレース・モレッツといった豪華俳優陣の声の演技やスヌープ・ドッグのキャラも見逃せません!
『アダムス・ファミリー』(87分/アメリカ/2019年)
原題:The Addams Family
公開:2020年9月25日
配給:パルコ
劇場:全国にて
監督:コンラッド・ヴァーノン/グレッグ・ティアナン
脚本:マット・リーバーマン
音楽:マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ
声の出演:オスカー・アイザック/シャーリーズ・セロン/クロエ・グレース・モレッツ/フィン・ウォルフハード/ニック・クロール/ベット・ミドラー/アリソン・ジャネイ/エルシー・フィッシャー/エイミー・ガルシア/スヌープ・ドッグ
声の出演(日本語吹替版):生瀬勝久/杏/二階堂ふみ/秋山竜次/LiLiCo/井上翔太
Official Website:https://addams-movie.com/
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