【映画レビュー】サンザシの樹の下で / 山楂樹之戀
『紅いコーリャン』でコン・リーを見いだし、『初恋のきた道』でチャン・ツィイーを見いだしたチャン・イーモウが、またもや可愛すぎる田舎っぺ娘を見いだしてくれました。
その名も、チョウ・ドンユィ!
この映画『サンザシの樹の下で』のヒロインは、文化大革命当時の優等生・ジンチュウ。
映画は、その優等生が田舎で金持ちのボンである年上の青年・スンと出会い、初恋を体験する様を描き出します。
きらめく自然の中、好きな人に会うために胸を躍らせながら走るジンチュウの可愛らしさったら!
文字通り、“一緒に寝た”だけで「妊娠してしまった!」と誤解してしまうほどウブなジンチュウには、女の私でもちょっとドキドキしてしまいました。
その初々しさ、愛らしさ、切なさに、思わず泣いてしまう人はきっと多いと思います。
まあ、ちょっと反日描写が気になることは気になりますが、チャン・イーモウらしいと言えば、らしいですよね。
中国映画である以上、しょうがないのでしょうか。。。
<STORY>
1970年代初頭、文化大革命の中国。都会の高校生たちは、田舎の農村に住み込み実習に行かされていた。サンザシの伝説のある村へ行ったジンチュウは、裕福な家の青年・スンと出会う。彼と身分違いの恋に落ちたジンチュウは、都会に戻っても密かにスンと会い続けた。しかし、二人で会っていることを母親に知られたジンチュウは、スンと会うことを禁止されてしまう。会えない日々が続く中、ジンチュウはスンが入院したという知らせを聞く…。
<解説>
文化大革命という抑圧の時代を舞台にした本作。
タイトルとなっている“サンザシ”は、抗日運動の犠牲者のシンボル。
本来ならば白い花が咲くはずのサンザシ。
しかし、その村にあるサンザシの木は、日本人に殺された中国同胞の血を吸って赤い花が咲くようになったのです。
そんな哀しい伝説を持つサンザシが咲く村で出会った、少女・ジンチュウと青年・スンの恋を、本作は描いています。
二人の間には、この時代ならではの障害があります。
身分の差、反革命分子として迫害を受ける両親を持つジンチュウの問題など…。
そんな障害の中、まっすぐにお互いを愛し続ける二人の姿には、現代ではなかなか見ることができない“純愛”の姿を見ることができるのです。
まあ、ストーリーの転換をテロップで済ませてしまったり、映画としてちょっと作りが粗い点は否めませんが…。
細かい説明描写より、風景の美しさと、二人の若者の純愛の素晴らしさを描き、観客の心を揺さぶることに重きをおいた、チャン・イーモウ監督の熟練された職人技のような気もします。
私の大好きな映画、『HERO』、『LOVERS』などの中にも見られるトゥー・マッチ過ぎる演出なども健在なので、それはそれで楽しめるのではないかと思います。
個人的には、友人が病気になり入院したシーンでの、まるで舞台メイクかのような濃いメイクは必見です。
うーん、トゥー・マッチ。でもそこがいい!
『サンザシの樹の下で』(114分/中国/2010年)
原題:山楂樹之戀
英題:Under the Hawthorn Tree
公開:2011年7月9日
配給:ギャガ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて順次公開
監督:チャン・イーモウ
出演:チョウ・ドンユィ/ショーン・ドウ/シー・メイチュアン/リー・シェエチェン/チェン・タイシェン/スン・ハイイン
公式HP:http://sanzashi.gaga.ne.jp/
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