リトル・フォレスト 夏編・秋編

いわゆる“ロハス”を描く映画って、どこか説教くさかったり、奇妙なポジティブシンキングが目立ったり、作る人の自意識や自己肯定が勝っているような気がします。
“自然”を謳っているにも関わらず逆に不自然な感じがして、個人的にはあんまり好きじゃないのです。

この映画『リトル・フォレスト 夏編・秋編』も、そんな不自然なロハス礼賛映画なのかと思って観に行ったのですが、そんな先入観はすぐに吹き飛ばされました。

この映画で描かれているのは、自然の中で暮らす人間の生きる様です。

“生きる”っていうのは、“食べる”ってことなんだなあ。
“食べる”ということは、自然から食物を採集し、食物を育て、それを調理して口に運ぶということなんだなあ。

そんな当たり前のことを、体を動かして汗をかきながら食べるものを用意し、大口を開けて食べ物に食らいつく橋本愛の姿が思い出させてくれました。
この映画、これまで観た中での橋本愛の最高傑作なのではないかなあ。。。

<STORY>
東北地方のとある村の中の小さな集落、小森。いち子は小森にある一軒家で、一人暮らしている。母が何も言わずに家を出て行って以来、畑や田んぼで農作業をしながら、自給自足に近い生活を送っているのだ。夏は、ストーブでパンを焼いたり、米でサワーを作ったり、とってきたグミでジャムを作ったり。秋は、稲刈りをしたり、干し芋を作ったり、鴨を絞めたり。何もない小森で、すべてをまかなういち子の暮らしは毎日忙しい…。

<Cheeseの解説>
この映画の中で、橋本愛演じるいち子は小森という東北地方の田舎で、ただ生きています。

パンを焼き、米をサワーにして、ジャムを煮て、ウスターソースを作り、くるみをつぶし、芋を干し、栗を煮る。
米を作り、トマトを作り、何種類もの青菜を季節ごとに栽培し、里芋を作り、さつま芋を作り、山菜を採り、木の実を拾う。

都会や町に生きる人間であれば、パンやジャムなんかは買ってきたほうが断然早いわけですが、小さな商店に行くだけで往復2時間、大きなスーパーに行くには一日がかりになるいち子にとっては、食べ物は買うより作った方が早いのです。

そんな彼女が、おいしいものを食べるために、ただいろいろなものを作って、食べている。
ロハスなどを気取るわけでもなく、ただ、自分がそこに生まれたから、そこで暮らしている。
自然を肯定するでも、否定するでもなく、ただ自然の中で生きている。
自然の中で生きることの素晴らしさだけでなく、大変さ、面倒さもそのままに描いているのも素晴らしいと思います。

そんな生活を送る彼女の言動は、浮ついておらず、とても信頼できるものだと思います。
そんな彼女の冬と春の生活を、早く観たいと思わされました。

eatripがディレクションを担当した料理の数々も見るからに美味しそうで、いち子の家にお邪魔して、ごはんを食べさせてもらいたくなりました。

それにしても、あのヌテラが自分で作れるとはね…。
そんなこと、考えたこともなかったので、とても驚かされました。
田舎育ちで田舎から逃げ出して来た私ですが、生活力も食物を作り出す能力もないし、小森ではぜったいに暮らしていけないな。。。

『リトル・フォレスト 夏編・秋編』(111分/日本/2014年)
公開:2014年8月30日
配給:松竹メディア事業部
劇場:全国にて
原作:五十嵐大介
プロデューサー:守屋圭一郎
監督・脚本:森淳一
出演:橋本愛三浦貴大松岡茉優温水洋一桐島かれん
公式HP:http://littleforest-movie.jp/

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