アオハライド
やはり、三木孝浩監督の手がける青春恋愛映画はひと味違う…、と、思わず唸らされる映画『アオハライド』。
特に、少女漫画原作の青春恋愛映画などは、見ていて恥ずかしさが先に来てしまう場合も多いものですが、この作品は恥ずかしさよりキュンキュンが先に来てしまいます。
青春期などはとうに過ぎ、そろそろ朱夏も終りが見えて来たのではないかと思える私にもそう思わせるだなんて、三木監督はさすがです。
とは言え、東出昌大くん、『寄生獣』みたいな人間離れした高校生ならともかく、普通の高校生役にはちょっと無理があるよね…。
でも、『クローズEXPLODE』の時も思ったものですが、彼の大き過ぎる身長をもてあますかのように、大きな背中をちょっと丸めて両手をパンツのポケットに突っ込みながら歩く姿は、芸術品のように素晴らしいと思います。
でも、ああいう歩き方は社会人としてはあまりしないだろうから、あの歩き方を拝めるのも、ひょっとしてこの作品が最後だったりするのでしょうか…。
<STORY>
高校2年生の春、吉岡双葉は馬淵洸と再会する。中1の頃、二人はお互いに淡い想いを抱いていたのだが、両親の離婚で洸は長崎に行き、母親の死により戻って来たのだ。学年のリーダー合宿に参加した双葉は、修子、悠里、洸の親友の小湊と仲良くなる。リーダー会議で何度も会ううち、双葉はまだ自分が洸を好きなことに気付くのだった。夏休み、再び想いが通じたかと思えた直後、洸と連絡がとれなくなる。彼は長崎時代の同級生・唯に会いに行っていたのだ…。
<Cheeseの解説>
中学生の頃からお互いに淡い想いを抱いていた男の子と高校で再会したものの、変わってしまった彼の気持ちがわからずに、彼の態度に一喜一憂する女の子…。
そんな、ある意味よくある恋物語を描くこの作品。
咲坂伊緒原作の少女漫画を、三木孝浩監督&脚本家の吉田智子コンビが、キュンキュンする恋物語に仕上げています。
恋に悩む女の子・双葉を演じるのは本田翼ちゃん、双葉に想いを寄せつつも諸事情から彼女にそっけない態度をとってしまう男の子・洸を東出昌大くんが演じています。
よくある物語とはいうものの、そこはさすが三木監督。
洸がただの気まぐれな男の子ではなく、彼が抱える逡巡や、同じ境遇を持つ友だちへの捨て切れない共感などをしっかりと描き、物語に深みを与えています。
さらに、そこに面白さを付け加えるのが、高畑充希演じる成海唯の存在。
朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」では兄と妹を演じていた二人ですが、本作では親を亡くすという共通の体験を持つために、共依存のような関係に陥ってしまう二人を演じています。
なんというか、彼女が出てくるシーンだけ、物語の空気が変わってしまうというか…、少女漫画原作の“青春映画”であるこの映画に“ドロドロ恋愛映画”的な要素が加わってくるのです。
これはやはり、女優としての高畑充希の力量ということでしょう。
まあ、双葉に想いを寄せるイケメン・菊池くんの存在や、洸や双葉たちをそって見守るイケメン教師・田中先生の存在など、いかにも少女漫画的な展開もありますが、それはまあ、物語を盛り上げる必須アイテムということでしょうか。
想い合いながらもすれ違う洸と双葉、そんな彼らを見守る親友の修子、悠里、小湊らの姿を見ていると、素直に「いやー、青春っていいものですねえ」と言いたくなります。
いやー、今どきのリア充高校生、ホントうらやましいわー。
『アオハライド』(122分/日本/2014年)
公開:2014年12月13日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:咲坂伊緒
監督:三木孝浩
脚本:吉田智子
エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
製作:市川南
出演:本田翼/東出昌大/新川優愛/吉沢亮/藤本泉/高畑充希/千葉雄大/小柳友/岡江久美子
公式HP:http://www.aoha-movie.com/
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