【映画レビュー】HOME 愛しの座敷わらし
まったく前情報なしに観に行った、映画『HOME 愛しの座敷わらし』。
ストーリーが進むうちに、「このストーリー、なんか全部知っている…」という不思議な感覚。
で、よくよく思い出してみると、この映画の原作小説を、朝日新聞の夕刊連載時に読んでいたのですね。
新聞小説って、特にタイトルとか作家名をあまり意識しないままに読むことが多いので、原作・荻原浩「愛しの座敷わらし」というクレジットを見ても、あまりピンと来ていなかったのでした。
そう言えば、映画『悪人』の時も、観ながら全く同じ感覚を味わったんだった…。
確か、この「愛しの座敷わらし」は、「悪人」の連載直後か直前に連載されていたような気がします。
<STORY>
パパとママ、中学生の梓美、小学5年生の智也、そしておばあちゃんの5人で暮らす高橋家。パパの転勤で東京から岩手の田舎に引っ越して来た。新しい家は、駅からも遠い囲炉裏のある茅葺屋根の一軒家。智也は喜ぶが、都会育ちのママや梓美は不満顔だ。何度か不思議な体験をした智也は、裏庭の祠で着物を着た小さな子を発見する。隣のおばあちゃんに話を聞いたところ、その子はこの地方に昔から言い伝えられている“座敷わらし”だという…。
<解説>
和泉聖治監督×水谷豊という、「相棒」シリーズの名コンビがタッグを組んだこの作品。
社会派刑事ドラマである「相棒」とはまったく違うテイストの、家族で見られるホームドラマです。
東京の狭く閉ざされていたマンションから、田舎の茅葺き屋根の家に越して来た家族が、家族の絆を取り戻していく物語。
確かに、気密性が高いコンクリートのマンションでは、いくら狭くてもあまり家族の会話は聞こえなかったりしますが、木と草(萱って草でしたっけ?)と紙でできた開放的な田舎屋では家族の気配は筒抜け。
しかも囲炉裏を囲んで団らんなどをしていると“家族一緒に暮らしている”という実感は強まるのでしょうね。
最初、家族に恐怖を与えるものの、徐々に家族の結束を固めさせる存在となる座敷わらしは、“間引きされた子ども”という切ない設定ですが、それゆえに無垢で、純粋に家族との暮らしを求める可愛らしい存在でもあります。
演じている子役がまた可愛くってね…。
大きなおめめとイタズラっぽい表情に、「可愛いは正義」という懐かしい言葉を思い出してしまいました。
さて、和泉聖治監督×水谷豊という「相棒」コンビの作品だけあって、「相棒」ファンにはうれしいキャストもチラチラ出てきます。
そして、いかにも東映作品らしいキャスティングもいろいろあって、そこは邦画に詳しい人は思わずニヤリとしてしまうところではないでしょうか。
ゴールデンウィークに家族で揃って観に行くのにぴったりなファミリー・ムービーであるこの作品、帰りにファミレスに入ったら、お水の数をちゃーんと確認してみてくださいね。
『HOME 愛しの座敷わらし』(110分/日本/2012年)
公開:2012年4月28日
配給:東映
劇場:全国にて
原作:荻原浩
監督:和泉聖治
出演:水谷豊/安田成美/濱田龍臣/橋本愛/草笛光子/飯島直子/草村礼子/佐々木すみ江/沢木ルカ/菅原大吉/長嶋一茂/高島礼子/ベンガル/スザンヌ/梅沢富美男/石橋蓮司/岡部珠奈/段田安則/宇津井健
公式HP:http://www.warashi.jp/
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