【映画レビュー】水曜日が消えた
中村倫也が7人の違う人格を演じる映画『水曜日が消えた』。
真面目で気弱、几帳面な性格の学級委員長のような“火曜日”、明るく穏やかなスポーツマンの“水曜日”、職人気質のイラストレーターの“木曜日”、孤独を愛する園芸家の“金曜日”、おしゃべり好きの社交派オタクの“土曜日”、遠くを夢見る自由人の“日曜日”、問題児のミュージシャンの“月曜日”と、さまざまなキャラクターを演じ分けています。
とはいえ、物語はほとんど小学生男子のように素直な“火曜日”の目線で進んでいきます。
癒し系の中村倫也くんが好きな人には、かなり楽しめる映画でしょう。
個人的には、悪い感じの問題児“月曜日”の中村くんに注目してほしいところです。
<STORY>
小学生の頃に交通事故に遭った影響で、7人の人格を持つようになった“僕”。7人はそれぞれ、月曜日から日曜日までの決まった曜日に目を覚ます。“月曜日”の世界を“火曜日”が見ることはない。だがある日、火曜日の夜に眠った“火曜日”が、水曜日の朝に目を覚ました。いつも火曜日に図書館が閉館していることに不満を抱いていた“火曜日”は、図書館へ行ってみる。そこで働く司書の瑞野さんは、どうやら“水曜日”の僕を知っているらしい…。
<解説>
解離性同一性障害で、一つの体に7人の人格を持つことになった青年の姿を描く本作。
主人公は、7人の人格のうちの一人、いつも火曜日に目を覚ます、もっとも真面目で面白みのない人格の“火曜日”くんです。
いつのまにか火曜日だけでなく、水曜日にも目を覚ますようになった“火曜日”くん、最初のうちは初めての水曜日を満喫します。
火曜日は閉館している図書館の中に入っていろいろな本を借り、司書の瑞野さんとも仲良くなり、淡い恋心を抱いたり。
しかし、だんだんと「なぜ水曜日に目を覚ますようになったのか、“水曜日”はどこへ行ったのか」という疑問を抱くようになります。
そして、自分の体と心にこれまでにない大きな変化が起きていることを知るのです。
中村倫也はその演技力で、見事に悩める“火曜日”を演じています。
圧巻は、“火曜日”が初めて別の自分と対面することになるシーン。
それまでは付箋のメモなどを通して牧歌的なやりとりをしていた彼らですが、スマートフォンのビデオ録画を利用して、初めて他の曜日の本性を知るのです。
それは自分であり、自分ではない…。でも、“火曜日”以外の他の曜日の人格は確かに存在し、その人格は尊重されるべきである。自分と同じように。
解離性同一性障害によって発生した複数の“人格”の人権はどこまで尊重されるべきなのか。
ある種、哲学的な問題に直面した“火曜日”は自分なりの方法で問題を解決しようとするのですが…。
本作の監督、吉野耕平はCMなどの分野で活動してきた映像クリエイター。
長編映画デビューとなる本作で、印象的で詩的、意味深い映像を見せています。
オリジナル脚本で見事な映画デビューを飾った吉野耕平、これからも注目していきたい監督です。
『水曜日が消えた』(104分/日本/2020年)
公開:2020年5月15日
配給:日活
劇場:全国にて
監督・脚本・VFX:吉野耕平
音楽:林祐介
主題歌:須田景凪 「Alba」
出演:中村倫也/石橋菜津美/深川麻衣/きたろう/中島歩/休日課長(ゲスの極み乙女。)
Official Website:http://wednesday-movie.jp/
Happinet (2020-12-24T00:00:01Z)
¥6,274
Happinet (2020-12-24T00:00:01Z)
¥3,303
講談社 (2020-04-22T00:00:00.000Z)
¥759
TCエンタテインメント (2016-04-27T00:00:01Z)
¥8,980
東宝 (2020-06-17T00:00:01Z)
¥5,760
TCエンタテインメント (2020-02-07T00:00:01Z)
¥21,014