【映画レビュー】ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 / The Woman In Black
スーザン・ヒルの原作小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」を、あのバイオレンスアクション・ムービー『キック・アス』の脚本家・ジェーン・ゴールドマンが手がけた映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』。
主役のアーサー・キップスを演じるのは、ハリー・ポッター役でおなじみ、ダニエル・ラドクリフくん。
1989年生まれのダニエルくん、本作ではなんと、4年前に妻を亡くして息子を育てている父親役を演じています。
とはいえ、「ハリー・ポッター」シリーズとも、『キック・アス』ともまったく違う、ブリティッシュ・ゴシック・ホラーな本作。
むしろJ-ホラーの怖さを感じさせるような、恐怖がしのびよってくる一作です。
<STORY>
19世紀末、ロンドンで暮らす若き弁護士のアーサー・キップスは、4年前に妻を亡くして以来、哀しみに沈んでいた。上司から遺品整理の仕事を命じられ、息子のジョセフを家政婦に預けて田舎町クライシン・ギフォードにやって来るが、村人たちからは歓迎されない。亡くなった女性の暮らしていた“イールマーシュの館”に入ったアーサーは、窓の外に佇む黒衣の女性を見る。その後街に戻ると、農薬を飲んだ少女が死亡するという事件が起こる…。
<解説>
イギリスの片田舎クライシン・ギフォードにある“イールマーシュの館”で、アリス・ドラブロウ夫人の遺産整理のための遺言書を見つけにいくことになった弁護士アーサー・キップスが体験する恐怖を描くこの作品。
人里離れた沼沢地帯に浮かぶ島にある古びた洋館。
その館の周りにはうっそうと茂る林と、墓地があるばかり。
そんな洋館の中に入り、遺された書類の数々を調べるうち、アーサーはアリス・ドラブロウ夫人の養子、ナサニエル・ドラブロウの死亡証明書を見つけます。
そして、窓の外に黒衣の女性を見かけ、館の中に人の気配を感じたりもするのですが、アーサーはいったん宿に戻るのです。
しかし、そこでは女の子が農薬を飲んで死亡するという事件が発生。
実は、その街では、“黒衣の女”を見た者があると、その後で子どもたちが死んでいくという事件が多発していたのでした。
村人たちに、調査をやめてロンドンに帰れと詰め寄られる中、アーサーは頑固に遺産整理の仕事を続けることを宣言します。
実は、妻が死んで以来、哀しみで仕事に身が入らなかったアーサーは、この仕事をやり遂げないと解雇するとボスから宣言されていたのです。
妻が遺した愛児・ジョセフを育てるためにも、アーサーは仕事を失うわけにはいかず、どんな恐怖が待っていても、この仕事だけはやる遂げるとアーサーは決意していました。
窓の外から見つめる黒衣の女、勝手に動き出す玩具、ふと感じる人の気配…。
アーサーはもろもろの超常現象を感じつつも、仕事を遂行して行きます。
このあたりの超常現象の描写は、どこか日本のホラー映画を思わせるものがあります。
実は脚本家のジェーン・ゴールドマンは、本作の脚本を書くにあたり、日本のホラー映画を繰り返し観て、その参考にしたのだとか。
ビクトリア調の幽霊物語にジャパニーズ・ホラーが影響を与え、新しいブリティッシュ・ゴシック・ホラーを作り出したと考えると、なかなか感慨深いものがありますね。
ダニエル・ラドクリフくんも、魔法使いの子どものイメージからうまく脱皮し、息子と妻を愛する大人のオトコの演技を見事に見せてくれました。
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』(95分/イギリス=カナダ=スウェーデン/2011年)
原題:The Woman In Black
公開:2012年12月1日
配給:ブロードメディア・スタジオ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
原作:スーザン・ヒル
監督:ジェームズ・ワトキンス
脚本:ジェーン・ゴールドマン
出演:ダニエル・ラドクリフ/キーラン・ハインズ/ジャネット・マクティア/リズ・ホワイト/ロジャー・アラム/ティム・マクマラン/ジェシカ・レイン/ダニエル・セルクェイラ/ショーン・ドゥーリー/メアリー・ストックリー/デビッド・バーク/ソフィー・スタッキー/ミーシャ・ハンドレイ/イーファ・ドハーティ/ヴィクター・マクガイア
公式HP:http://www.womaninblack.jp/
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