【映画レビュー】007 スカイフォール ／ Skyfall

「007」シリーズ通算23作目、そしてダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドが登場する第三作目にあたる映画『007 スカイフォール』。

ダニエル・クレイグ大好きで、『007／カジノ・ロワイヤル』も、『007／慰めの報酬』も大好きな私、各所の評判の高い本作を期待半分、不安半分で観に行きました。
が、観終わった後、もとい、アデルの歌う主題歌「スカイフォール」オープニングタイトルが始まる頃から、もう、鳥肌がゾワゾワと！

それにしても本作、ダニエル・クレイグの魅力を充分に活かしつつ、「007」シリーズが50年にわたって積み重ねてきたシリーズの魅力をたっぷり活かした快作に仕上がっていると思います。
いやー、製作陣や英国人監督サム・メンデスのプライドと心意気を感じたなあ。

旧シリーズが持つちょっとうさんくさい感じが好きな方にも、ダニエル・クレイグが好きな方にも、充分楽しめる内容になっていると思います。
あ、でもこれまでのダニエル・クレイグ版と違い、本作のジェームズ・ボンドはメソメソしていないので、メソメソしたジェームズ・ボンドが好きな方には、ちょっと違うかもしれませんが…。

今回のジェームズ・ボンドは、前二作の一人の女に執着する、ちょっとメソメソしたボンドと違い、いわゆる“ザ・ボンド！”という感じです。
激しいアクションは前二作を引き継ぎつつ、任務の合間に女性を口説き、とはいえ女性に心は残さず、アジアのあやしいカジノに忍び込み、華麗に敵たちを倒していく…。
いや、むしろこれまでの22作の特徴をうまくミックスした、ハイブリッド版と言ってもよいかもしれません。
さすが、“resurrection”（生き返ること、復活）をテーマとしているだけありますね。

また、今作の特徴は新旧をうまく対比させている点。
その象徴が、新たに今作から登場する武器係“Q”の存在です。
これまでの“Q”と言えば、MI6の主流からは外れたおじいちゃん、というイメージでしたが、1980年生まれのベン・ウィショー演じるこの“Q”は、むしろMI6のセキュリティの要というべき存在です。
もちろんスパイ・ガジェットなども作らないわけではないですが、彼の専門はどちらかというとネットワークやプログラミングのようで、新しい時代に発生するサイバーテロなどに対応しているのです。
（でも、ちょっとMI6はセキュリティ弱過ぎな気がしますが…）

他にも、新旧の対比を感じさせるアイテムは、他にもいろいろあります。
ジェームズ・ボンドがMI6のトップ“M”を連れて、“ザ・ボンドカー”なアストン・マーチンに乗ってボンドの生誕地であるスコットランドへ向かうくだりなどは、まさにその象徴と言えるでしょう。

ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドがMI6の殺しのライセンスを持つ“00エージェント”になって以来、ボンドを見守り続けてきた“M”とボンドの道行き。
そしてその果てで待つ、ボンドと同じく“Mチルドレン”の一人であるシルヴァとの対決。
そして見せる、さらなる“resurrection”…。

シリーズ第23作目となる映画『007 スカイフォール』、本当に最後の最後まで、ファンサービスに満ちた一作です。
どうかこの迫力のアクションを大画面で観て、製作陣の仕掛けるサプライズに驚いて欲しいと思います。