【映画レビュー】アーロと少年 / The Good Dinosaur
ピクサー・アニメーション・スタジオが、地球上に隕石が衝突せず、恐竜と人間が共存している“if”の世界を描いた映画『アーロと少年』。
アパトサウルスやティラノサウルス、ラプトル、プテロダクティルスなどのしゃべる恐竜が登場し、太古の地球での恐竜と人間の友情と、行って帰ってくる間に起こる少年の変化と成長を描いています。
<STORY>
もし6500万年前に、地球に隕石が衝突しなかったら…。弱虫なアパトサウルスのアーロは、ある日初めて“人間”という生き物と出会う。パパに食料を奪うその生き物を始末しろと言われるが、アーロは彼を逃してしまう。その人間を追ったパパは急な濁流に飲まれ命を落としてしまった。やがて、アーロも川に落ちはるか遠くまで流された。見知らぬ土地でひとりぼっちになったアーロはその人間に助けられる。アーロはその人間をスポットと名付け、一緒に家への旅を始める…。
<解説>
ピーター・ソーンが監督を務めたピクサーの新作映画『アーロと少年』。
恐竜が言葉を話す世界を描いた本作では、恐竜が農業を行ったり、牛の放牧を行ったりしています。
そして、言葉を話さない人間は、ほとんど犬のよう。
四足歩行で歩き回り、感情表現はうなり声が基本です。
急流に流された恐竜のアーロを助けた人間のスポットは、アーロのための食べ物を探して来たり、彼のために安全を確保したり、忠犬のようにアーロを支えます。
最初はそんなスポットに戸惑っていたアーロですが、アーロの家へと向かって未知の地を旅する間に、様々な危険を共に乗り越えながら、だんだんと友情を育んでいくのでした。
父親との別れ、未知の地への冒険、数々の他者との出会い、過酷な自然との出会い、誰も庇護する者のない中での危険な状況…、これはまさに、少年から大人への通過儀礼。
これまで家族と共にぬくぬくと育ってきた弱虫のアーロは、その通過儀礼をスポットと共に経験するうちに、一人前の青年へと成長します。
そして、依存心を捨てられるようになり、二足歩行を始めたスポットを見送るのです。。。
恐竜が主人公という、かなり変わった設定のありえない物語ではありますが、私はこの作品に圧倒的なリアリティを感じました。
それは、アーロの心の動きや成長が丁寧に、真実味を持って描かれているから。
さすがピクサー、誰もが通過する成長の物語を、丁寧に、自分たちだけができるやり方で、素晴らしい映像と共に描いています。
そうそう、ピクサーといえば、本編の冒頭に流れる短編アニメーションも忘れてはいけません。
この『アーロと少年』の冒頭に流れる短編映画は、『ボクのスーパーチーム(Sanjay’s Super Team)』というインド系の少年の物語。
もう!この映像が素晴らしい!
ヒンドゥー系の神様の姿を描いているのですが、まずその音響設計に聞き惚れ、ヒーロー(神様)の造形の美しさ、動きの優雅さに見とれ、心を奪われてしまいました。
この作品だけで、新たに長編映画を作ってもらえないかしら。
ピクサーの映像で、ボリウッド・ダンスなんかがあったら、もう夢中になって見ちゃいそうです。。。
『アーロと少年』(101分/アメリカ/2015年)
原題:The Good Dinosaur
公開:2016年03月12日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
監督・声の出演:ピーター・ソーン
製作総指揮:ジョン・ラセター/リー・アンクリッチ/アンドリュー・スタントン
脚本:メグ・レフォーヴ
音楽:マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ
撮影監督:ライティング:シャロン・キャラハン
声の出演:レイモンド・オチョア/ジャック・ブライト/ジェフリー・ライト/フランシス・マクドーマンド/マーカス・スクリブナー/マレア・パディーヤ/サム・エリオット/A.J.バックリー/アンナ・パキン/デーブ・ボート/カリー・パフ/ジョン・ラッツェンバーガー/カルム・マッケンジー・グラント/スティーヴ・ザーン
声の出演(日本語吹替版):安田成美/松重豊/八嶋智人/片桐はいり/石川樹
Official Website:http://www.disney.co.jp/movie/arlo.html
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2016-07-06T00:00:01Z)
¥3,200
WALT DISNEY RECORDS (2016-03-09)
売り上げランキング: 22,603
偕成社
売り上げランキング: 8,083
売り上げランキング: 42,292
売り上げランキング: 45,782
売り上げランキング: 102,299
Disney Press
売り上げランキング: 581