【映画レビュー】タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 / The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn
「うーん、キチ○○に刃物とは、このことだな…」という感想が思わず浮かんでしまった映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』。
スティーヴン・スピルバーグが少年レポーター・タンタンの冒険をフルCGで描いたこの作品。
面白い。いや、面白過ぎるのです。
神はスピルバーグにフルCGアニメを与え賜うた…。
実写では物理的に不可能なカメラワークや、危険過ぎて生身の役者にはさせられないアクションも、CGではなんなく実現できます。
スピルバーグという、エンターテインメントの粋を知り尽くした監督が頭に思い浮かべたことが、CGであればそのまま映像化できるのです。
さらに、実写でやってしまうとあまりにもバカバカしく、物語の信憑性もまったく感じられない演出も、CGアニメであれば、なんの違和感もなく受け入れられます。
燃料切れになった飛行機で、アルコール分を含んだ呼気を注入して飛行機のエンジンを動かす演出なんて、実写でやっても面白くも何ともないはず。
でも、そんなシーンもCGアニメで見せれば、ユーモアたっぷりのアクションシーンに早変わりしてしまうのです。
それに、アニメであれば吹替えが自由自在なので、タンタンの母国・ベルギーで「なんであのタンタンが英語を話してるの?」というような疑問も抱かせないはず。
やはり、タンタンの母国の人びとは、タンタンがフランス語で話す方が、素直に受け入れられるでしょうからね。
エンターテインメントの天才がそのイマジネーションを思う様可視化させて詰め込んだこの映画、素晴らしい冒険映画です。
<STORY>
少年レポーターのタンタンは、ノミの市でユニコーン号という船の模型を手に入れた。しかし、その模型を狙った泥棒が現れる。タンタンはユニコーン号について調べ始め、ユニコーン号はかつて海賊に襲撃され海上から消えた、伝説の軍艦だということを知る。気付けばタンタンはユニコーン号の模型を盗もうとした黒幕、サッカリンに誘拐され、船の上にいた。そこで彼は、ユニコーン号の船長・アドック卿の子孫、ハドック船長と出会う。
<解説>
私にとって、映画を観て好きになった初めてのヒーローは、ハリソン・フォード演じるインディアナ・ジョーンズ。
古代の魔境で襲いかかってくる危機の数々を、をその豊富な知識と的確な判断力、ユーモアとムチさばきで切り抜けて行くその姿に、憧れたものです。
この映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』は、その「インディ・ジョーンズ」シリーズを手がけたスティーヴン・スピルバーグ監督が、ハリソン・フォードにはさせられなかったアクションを、CGキャラの少年レポーターに思いっきりさせている映画です。
シーンの数々や演出の端々には、「インディ・ジョーンズ」シリーズを思い出させる演出が差し挟まれています。
この演出こそ、スピルバーグの「このタンタンが、インディ・ジョーンズに代わる21世紀の新ヒーローだ」という宣言と言えるでしょう。
そして、物語の重要なモチーフとなっている“ユニコーン号”。
このユニコーン号は、かつて海賊に襲われたということになっています。
海賊が襲撃してくるシーンなど、なんとも緊迫感あふれるアクションシーンに仕上がっています。
「どうだ、ゴア・ヴァービンスキーにジェリー・ブラッカイマー! オレだったら、海賊を描く時には、ここまでやっちゃえるんだぞ~」というようなスピルバーグの挑戦状のように思えたのは、深読みのし過ぎでしょうか。。。
この映画を観ていた107分間、私は子どものようにワクワクが止まらず、「危ない!」「ヤバい!」「スノーフィ、エラい!」などと、思わず声を出しながら、映画を楽しんでいました。
圧倒的なイマジネーションを持つ天才・スピルバーグと、パフォーマンス・キャプチャーに関しては豊富な経験を持つ鬼才・ピーター・ジャクソンがタッグを組んで、とにかくエンターテインメントに特化して作り上げたこの作品。
「インディ・ジョーンズ」シリーズに心を時めかせた記憶を持つ人ならばきっと、あの興奮を再び味わえるはず。
この怒濤のエンターテインメント作品、どうぞ楽しんで下さい!
別コラム:オトコに見せたいこの映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(107分/アメリカ/2011年)
原題:The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn
公開:2011年12月1日
配給:東宝東和
劇場:TOHOシネマズスカラ座ほか全国にて
原作:エルジェ
製作:ピーター・ジャクソン/キャスリーン・ケネディ
監督・製作:スティーヴン・スピルバーグ
声の出演:ジェイミー・ベル/アンディ・サーキス/ダニエル・クレイグ/サイモン・ペッグ/ニック・フロスト/トニー・カラン/トビー・ジョーンズ/ガッド・エルマレ/マッケンジー・クルック/ダニエル・メイス/ケイリー・エルウィス/フィリップ・ライズ/ロン・ボッティータ
公式HP:http://tintin-movie.jp/
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