【映画レビュー】スターダスト / Stardust
1967年に「デヴィッド・ボウイ」でデビューし、1969年に「スペース・オディティ」、そして1970年に「世界を売った男」をリリースしたアーティスト、デヴィッド・ボウイ。
この時代、ブレイク前のデヴィッド・ボウイのアメリカでのプロモーションツアーの様子を描いたのが、本作『スターダスト』です。
ジギー・スターダストになる前のデヴィッド・ボウイ。
私たちから見ると偉大でレジェンド的なアーティストですが、このデヴィッド・ボウイにもそのアーティスト性を理解してもらえない時代があったとは……。
今まで知らなかった人間デヴィッド・ボウイの姿を知ることができる、事実にほぼ基づく物語です。
STORY
1971年、これまでにイギリスで2枚のアルバムを発表しているミュージシャンのデヴィッド・ボウイは、アメリカでアルバム「世界を売った男」をリリースした。ほとんど話題にならないこの作品のプロモーションのために、デヴィッドは初めて渡米。しかし、予算もなく、ビザや書類もないため、ステージで演奏などはできない状態だった。デヴィッドはマーキュリー・レコードのパブリシストであるロン・オバーマンと共に車で全米を回ることに……。
解説
1971年のデヴィッド・ボウイ。自分や周囲はその才能を信じているけれど、まだ世界は彼を知りません。
そんななか、単身でアメリカに乗り込み、プロモーションツアーを行うことに。
アメリカに着いてみると、そこには出迎えのリムジンもなければ高級ホテルもなく。
パブリシストのロン・オバーマンの家に泊まり、ロンの自家用車でアメリカを回ることになります。
しかもワーキングビザや書類もないため、ステージで演奏することもできないというのです。
有名な記者になんとかインタビューしてもらおうとしたり、小さなパーティーで弾き語りをしたり、ドサ周りという言葉がふさわしいような、そんなプロモーションツアーです。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのライブに行ったり、ニューヨークでアンディ・ウォーホルに会うも相手にされなかったり、彼のプライドを打ち砕くようなことも起こります。
そんなつらいツアーの最中に彼が思い出すのは、デヴィッドに音楽を教えてくれた兄・テリー。
テリーは多重人格障害を発症し、精神病院に入院していました。デヴィッドは自分もやがてその病気を発症するのではないかと恐れていたのでした。
本作でデヴィッドを演じるのは、ミュージシャンとしても活動しているジョニー・フリン。デヴィッドの繊細な心の動きや、揺れ動くプライド、あふれる音楽の才能と魅力などを、リアルなキャラクターとして演じています。
ポップアイコンとしてまだ世界に見出されていないデヴィッドは、今の自分自身とそうありたい自分、そしてなるべき理想像を、旅の途中で見出していきます。
そして、1972年7月6日、テレビ番組で「スターマン」を披露し世間を驚かせ、カリスマ的存在として世界にその魅力を知らしめていくのでした。
多重人格を恐れる彼が、あえて作り上げたのが別の人格“ジギー・スターダスト”とも言えるでしょう。
このジギー・スターダストを作り出すに至ったデヴィッドの彷徨とも言えるこのツアーの様子を描いたのは、子どもの頃からボウイに魅了されていたというガブリエル・レンジ監督。
彼は今、デヴィッド・ボウイがイギー・ポップと西ベルリンで暮らした日々を描く『Lust for Life』という作品の脚本を共同執筆中とのこと。別の時代のボウイの姿も、ぜひ早く観たいものです。
そうそう、劇中でデヴィッドの妻のアンジーが妊娠している描写があるのですが、この時アンジーのお腹にいる赤ちゃんがダンカン・ジョーンズ監督になるのかと考えると、それはそれで感慨深いものもありました。。。
作品情報
『スターダスト』(109分/イギリス=カナダ/2020年)
原題:Stardust
公開:2021年10月8日
配給:リージェンツ
劇場:TOHOシネマズシャンテほか全国にて
監督・脚本:ガブリエル・レンジ
脚本:クリストファー・ベル
音楽:アン・ニキティン
出演:ジョニー・フリン/ジェナ・マローン/デレク・モラン/アーロン・プール/マーク・マロン/アンソニー・フラナガン/ジュリアン・リッチングス/モニカ・パーカー
Official Website:http://davidbeforebowie.com/
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