【映画レビュー】そして父になる
是枝裕和監督が第66回カンヌ映画祭で審査委員賞を受賞した映画『そして父になる』。
福山雅治主演で、血のつながりとは何か、父親とは何かという問題を静かに問いかけてくる、静かで優しい問題作です。
個人的にグッと来たのは、クライマックスシーンでの福山雅治の声。
昂る感情とこぼれそうになる涙を抑えながら、父親として冷静に言葉を発しようとするような少しうわずった声に、思わず泣きそうになってしまったのでした…。
感情がほとばしるような、演技を超えたようなあの声、役になりきっているからこそ出た声なのだと思います。
福山雅治、やはり色々持っているなあ。。。
それから、素晴らしい作品なのですが、ぜんぜん関係ないところでちょっと気を取られてしまったところがひとつ。
法廷のシーンで、リリー・フランキー氏とピエール瀧氏が顔を合わせるシーンがあるのですが、そこがどうにも…。
某作品を思い出してしまい、ついつい、瀧が凶悪な殺人事件の告白でも始めるのではないかという、良からぬ想像が頭に浮かんでしまったのでした。。。
<STORY>
大手建設会社のエリート社員・野々宮良多は、息子・慶多の私立小学校合格に喜びながらも、彼にもっと強くあって欲しいと思っていた。ある日、慶多の生まれた病院から、慶多と他の赤ん坊を出産時に取り違えてしまったらしいという連絡が入る。良多と妻のみどりは、自分たちの本当の息子である琉晴を育てていた斎木雄大・みどり夫妻と会うことに。斎木は群馬で電気店を営んでおり、琉晴を筆頭に三人の子どもたちと賑やかに暮らしていた。
<解説>
病院で起きた“赤ちゃん取り違え事件”によって、これまで育てて来た息子が実の息子ではなかったということを知る、二つの家族の葛藤を描くこの物語。
東京の高層マンションで静かに暮らすエリートの野々宮良多(福山雅治)&みどり(尾野真千子)夫妻が育てているおとなしい息子・慶多。
群馬の電気店を経営しながらドタバタと暮らす斎木雄大(リリー・フランキー)&ゆかり(真木よう子)夫妻が育てている元気でしっかりした息子・琉晴。
普通に暮らしていれば出会うことのなかった正反対の生活を送る二組の家族の生活が、不幸な事件により交差します。
自分の求める基準には達していない6年間育てて来た息子への愛よりも、理性を重視しようとする父親。
自分が6年愛情を注いできた息子への愛と、夫へのコンプレックスで心を開かなくなっていく母親。
病院への責任はちゃっかりと求めつつも、実の息子、育ての息子へのそれぞれに自分なりの愛情を注ぐ父親。
病院への怒りと息子への愛と抑えることなく表現し、自分と家族のために生きる母親。
そして、そんな両親たちに翻弄され、自分の居場所を求める二人の息子。
彼ら6人と、彼らをとりまく家族たちは、それぞれに何が最善か、どうすれば納得できるのか、理性的に、感情的に探っていくのです。
家族として、積み重ねた6年の日々。
同じDNAを持つという、生物学的な親子関係。
自身の父親と、その再婚相手である義母との関係をも一緒に考えあわせながら、効率と結果重視で生きてきた良多は、親子とは何か、慶多と琉晴のどちらが自分の息子なのか、良多は迷います。
家族を構成するものとは、いったい何なのか。
血のつながりとは何なのか。
どんなに考えても結果のでない難しい問題に答えを出そうとする二つの家族の姿を丹念に描いた、心打たれる一作でした。
『そして父になる』(120分/日本/2013年)
英題:Like Father, Like Son
公開:2013年9月28日
配給:ギャガ
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
監督・脚本・編集:是枝裕和
撮影監督:瀧本幹也
出演:福山雅治/尾野真千子/真木よう子/リリー・フランキー/二宮慶多/黄升炫/中村ゆり/高橋和也/田中哲司/井浦新/大河内浩/風吹ジュン/國村隼/樹木希林/夏八木勲/ピエール瀧/吉田羊
公式HP:http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/
アミューズソフトエンタテインメント (2014-04-23T00:00:01Z)
¥929 (中古品)
宝島社 (2013-09-05)
売り上げランキング: 218
SMJ (2013-09-04)
売り上げランキング: 2,880
文藝春秋
売り上げランキング: 10,205
売り上げランキング: 11,556
売り上げランキング: 6,001