【映画レビュー】SOMEWHERE ／ Somewhere

2011/3/16 外国映画さ行, 映画レビュー

これは巨匠と言われる映画監督フランシス・フォード・コッポラの娘である彼女、映画業界の表と裏、光と影、華やかさの裏にある空虚さを知り尽くしている彼女だからこそ作れた作品だと思います。

派手なストーリー展開はないけれど、画面から目が離せない…。
そんな作品です。

そう言えば、この作品で初めて知ったんですが、フェラーリのトランクって、車の前側の部分（いわゆるボンネット？）にあるんですね。エンジンとかはどこにあるんだろう。。。

あと、ちょろっと出てくるプエルトリコ出身のあの俳優も素敵です。
来日した時もあんな感じの変なキャップ被ってたよね。。。

＜STORY＞
ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ。フェラーリに乗り、ロサンゼルスにある伝説的ホテル“シャトー・マーモント”で享楽的な日々を送っている。そんな彼のもとに、前妻のもとで暮らす11歳の娘・クレオがやってくる。突然家を出た前妻が戻ってくるまで、クレオと一緒に暮らすことになったジョニー。部屋で一緒にゲームをしたり、イタリアで行われる映画祭に連れていったり、卓球や水泳を楽しんだり、父娘は一緒に時を過ごす。

＜解説＞
ハリウッド・スターと言えば、世界の多くの国民から憧れられる存在。
刑事、外交官、シェフ、スーパーの店員など、なんでも多くの役を演じることができます。
しかし、それは“役を演じている”だけのこと。
実生活とは違います。

世界的スターともなれば、お金は余るほどにあるので、豪華な生活を送ることはできます。

しかし、常に人の目にさらされ、パパラッチに追われます。

映画の撮影が決まれば、撮影のために何カ月も海外で暮らすことも。
映画が公開されれば、キャンペーンのために世界各国を回ることも。
撮影がない時は、時間も自由になりますが、それはそれで不安定な日々です。

いろんな人の人生を演じることはできるけれど、“朝起きて、仕事に行って、帰って来て家族と食事をして…”という、いわゆる“普通の生活”を送ることは困難になります。

そんな“規格外の生活”を送るハリウッドスターが、普段離れて暮らす11歳の娘と送る、穏やかな生活。

しばらく会わないうちに、クレオはフィギュアスケートでうまく滑れるようになっていたり、料理がうまくなっていたり。
娘とふたり、プールで泳いで、デッキチェアで昼寝をしたり。

そんななんでもない体験で、ジョニーは忘れていた生活を思い出すのです。

そして、クレオも。
みんなに愛想よく、礼儀正しく振舞う、可愛らしい11歳の少女。
でもそれは、父親の職業に配慮して、自分の感情を抑えつけて振舞っている部分もあるのです。
スター、ジョニー・マルコの娘にふさわしい娘と思われるように。
ジョニー・マルコの評判を落とすことのないように。

母親が家出をしており、根なし草のような父親と一緒に、リュックとスーツケースを持ってホテルからホテルを旅する生活なんて、いくらお金があまっていたとしても、やはり不安定なもの。
思春期の少女が、不安にならないわけはありません。

そんなクレオを演じているのは、エル・ファニング。あのダコタ・ファニングの妹です。

ブロンドでロングヘアの彼女は、ソフィア・コッポラの他の作品の主人公と同じく、どこかソフィア自身を思わせる容貌。
クレオ＝ソフィアというわけではないでしょうが、彼女の体験が多く反映されているであろうことは想像に難くありません。