【映画レビュー】セックス・アンド・ザ・シティ2 / SEX AND THE CITY2
アラフォーの星、キャリー、サマンサ、ミランダ、シャーロットの4人がファッショナブルにニューヨークを闊歩する人気シリーズの映画化第二弾、『セックス・アンド・ザ・シティ2』。
シリーズを古くから知っているファンにとってはサービス満点で、単純に観ていて楽しめる作品です。
パトリシア・フィールドの衣装は相変わらず素敵で、ため息モノ。
あんなゴージャスなアパートに住んで、あんな大きなクローゼットがあって、あんな素敵なドレスやヴィヴィアン・ウェストウッドのトランクがあって…、これが憧れずにいられましょうか。
しかし、ファンサービスに終始し過ぎて、ドラマ性や意外性には欠けています、はっきり言って。
でもまあ、現実を忘れて、sparkle☆(キラキラ☆)でファッショナブルな夢の世界にひたるには、いいんじゃないでしょうか。
<STORY>
めでたく結婚2周年を迎えたキャリーとビッグ。結婚記念日にキャリーはビンテージの時計をビッグにプレゼントするが、ビッグからのプレゼントは最新型テレビ。最近のビッグは家でダラダラしてばかりで、キャリーは少し不満気味だった。シャーロットとミランダも、小さな不満はあるが、平穏な結婚生活を送っていた。そんな時、サマンサがビジネス絡みでアブダビに招かれる。その招待に便乗した4人は超豪華なアブダビ旅行に出発する!
<解説>
昔、ある恋愛マスターに言われたことがあります。
「女にジュエリーをプレゼントしない男は、その女に本当の愛情は持ってないのよ!」
彼女によると、男性は、本当に好きな女性には、その女性を美しくするためのロマンティックなものをプレゼントするのだそう。
電化製品や日常品をプレゼントするのなんて、愛じゃないそうです。
その時は「なるほどねー」と思ったものですが、ビッグがキャリーにテレビをプレゼントし、キャリーが「ジュエリーが良かった」と不満を漏らすシーンで、そのエピソードを思い出しました。
(余談ですが、かのハイパー・メディア・クリエーターが奥様の誕生日にiPadをプレゼントしたというニュースを聞いた時にも、「ああ、やっちゃったね」と思ったものです。ダイヤでもあげとけば違った結果になったかもしれないのにね。……ならないか。。。)
恋愛や結婚も、ある程度の期間を過ぎて落ち着いてくると、男性は女性にやっぱり安らぎを求めるんでしょうか。
「家でくつろぎながらのんびりしたい」と言いだします。
でも、女性としては、いつまでも恋愛絶頂期と同じような雰囲気のドキドキやキラキラを求め、華やかな外食や着飾ったデートをしたいので、そんな男性に不満を持ちます。
本作『セックス・アンド・ザ・シティ2』の冒頭では、そんなビッグとキャリーの不満が描かれていて、思わず「わかるわかる!」とうなずいてしまいました。
でも、やっぱりこの作品は「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」。
そんなしみったれた日常生活なんて長々と描いていません。
着飾ってのウェディング・パーティー、映画のプレミア、超豪華なアブダビ旅行と、夢のようなゴージャスなキャリーたちの冒険を描いていきます。
アブダビ旅行のゴージャスさ、彼女たちのファッション…、本当にキラキラです!
割とメディアに酷評されているこの作品ですが、個人的には「SATC」である以上、こういうストーリーに落ち着かざるを得ないのではないかと思いました。
やっぱり、このシリーズが語るべきテーマは“恋愛(とそれに付属するキラキラな悩み)”、“女同士の友情”、“ファッション”などなどであって、“結婚生活(とそれに付属する細々した悩み)”ではないのだと思います。
だって、女性たちは、そんなリアルな日常を忘れたくて「SATC」を観ているのですから。
奇しくもキャリーがビッグに向かって口にするように、「SATC」にファンが求めているのは「sparkle☆(キラキラ☆)」なのだと思います。
キャリーとビッグの“結婚生活の不満”や、シャーロットとミランダの“子育てに悩む母”と言ったテーマなどを掘り下げて行けば、ドラマ性ももっと深くなっただろうと思いますが、それじゃあ「SATC」じゃあないもんなぁ。
と言うわけで、キャリーが落ち着いてしまった今、やはり「SATC」をドラマ性やストーリー性を高いクオリティでキープしたまま続けて行くのは、難しいのかなぁと思ってしまったのでした。
本作でも、体を張って頑張ってるのがサマンサだけですからね…。
余談ですが、サラ・ジェシカ・パーカーは『噂のモーガン夫妻』で、夫に浮気を告白されて激怒する妻を演じてましたね。
ヒュー・グラントが来日記者会見で「『噂のモーガン夫妻』の撮影中に、サラは『セックス・アンド・ザ・シティ2』のプロデューサーとしても忙しくしてたんだ。ずっとブラックベリーをカチャカチャいじってたよ」と語ってましたが、じゃっかんストーリーに重なりがあるのは、そのへんの影響もあるのでしょうか。。。
『セックス・アンド・ザ・シティ2』(147分/アメリカ/2010年)
原題:SEX AND THE CITY2
公開:2010年6月4日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:丸の内ピカデリーほか全国にて
監督:マイケル・パトリック・キング
衣装デザイン:パトリシア・フィールド
出演:サラ・ジェシカ・パーカー/キム・キャトラル/クリスティン・デイヴィス/シンシア・ニクソン/クリス・ノース
公式HP:http://www.SATC2.jp