【映画レビュー】さかなのこ
魚博士として知られ、イラストレーター、タレントとしても才能を発揮しているさかなクンの半生をのんが演じた映画『さかなのこ』。
一見イロモノ作品のように思われますが、決してそんなことはありません。
「さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~」というさかなクンの書籍を原作としたこの作品、一人の人間が、周囲の理解と愛を受け、自分の好きを貫いて、生きていく素敵な人間ドラマです。
沖田修一監督らしい敬意のこもったやさしいまなざし、そしてのんの孤高の笑顔が、さかなクンと周囲の人々の生き方を、丁寧に彩っています。
STORY
お魚が大好きなミー坊は、寝ても冷めてもお魚のことばかり考えている。食事のおかずももちろんお魚。パパはそんなミー坊に少し呆れているけれど、お母さんはミー坊のお魚愛を黙って応援してくれている。小学校からのなかよしであるヒヨやモモコ、中学生の時に出会った不良の総長や籾山くんも大切な友だちだ。大人になってもお魚が大好きなミー坊は、水族館や熱帯魚店など、お魚関連のいろいろな仕事をしつつ日々を過ごしていくのだが……。
解説
さかなクンの半生をもとに、お魚大好きなミー坊の姿をのんが演じた本作。
子どもの頃からお魚が大好きで、魚の絵を描いたり、お魚を食べたり、お魚の干物を作って一緒に遊んだりしています。
好きが高じて、中学時代からカブトガニの養殖に成功したりもしてしまうほど。
一般的にはちょっと変わった子と言えますが、お母さんをはじめとして周囲の人たちは、そんなミー坊の魚好きを理解し、ミー坊は“魚好きな気持ち”を貫くことができています。
これはすごく貴重なことで、観客はそんなミー坊の姿をとても幸せな気持ちで見守ることができるのです。
柳楽優弥演じるヒヨ、夏帆演じるモモコ、磯村勇斗演じる総長らがミー坊をそのまま受け入れて接している様子は、なんとも微笑ましく、理想的な関係と思えるでしょう。
でも、ミー坊がこのまままっすぐに魚好きなままで生きてくることができたのは、やはり井川遥演じるお母さんの子育てあってこそ。ここまで子どもの天性を受け入れることができる親というのは、そうはいないはずです。三宅弘城演じるお父さんを責めることができる人は、そうはいないでしょう。
お魚大好き友だちであるギョギョおじさんの家で時間を忘れて過ごしたり、一心不乱に魚の絵を描いたり、毎晩お魚を食べ続けたり……、そんな一つひとつがミー坊を形作っていったと言えます。
ここまで人の“好き”を認めて応援することができるか?
特に、親であったり指導者であったりする人には、重要な示唆を与えてくれる一作と言えるでしょう。
作品情報
『さかなのこ』(139分/日本/2022年)
公開:2022年9月1日
配給:東京テアトル
劇場:TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて
原作:さかなクン 『さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~』(講談社刊)』
監督・脚本:沖田修一
脚本:前田司郎
音楽:パスカルズ
出演:のん/柳楽優弥/夏帆/磯村勇斗/岡山天音/三宅弘城/井川遥/西村瑞季/宇野祥平/前原滉/鈴木拓/島崎遥香/賀屋壮也/朝倉あき/長谷川忍/豊原功補
Official Website:https://sakananoko.jp/
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(C)2022「さかなのこ」製作委員会