おしん
「明治時代の日本とは、なんと恐ろしいところなのだ…。
人身売買に幼児虐待、人権侵害、なんでもありなのね…」
と恐ろしい気持ちになった映画『おしん』。
7歳のおしんちゃん、ほうきで頭をゴツンとされたり、雪山の中で雪に埋もれさせられたり、上半身裸で折檻されたり、ものすごく辛い目にあわせられながらも健気に頑張っています。
昔の東北で生きるのは、本当に大変だったのだなあ。。。
それにしても、下賎な見方で恐縮ですが、おしんを演じる濱田ここねちゃんが裸で岸本加世子に折檻されるシーンの華麗なカメラワークには、ちょっと感心してしまいました。
あれ、相当に気を使って撮影したんだろうなあ。。。
ここねちゃんも冨樫森監督も鈴木周一郎カメラマンも、苦労したことと思います。
<STORY>
明治40年、山形県最上川の寒村に暮らす7歳のおしんは、口べらしのために一年間の年季奉公に出ることに。中川材木店で子守りをすることになったおしんは、女中頭のつねにしごかれながら、働き詰めの日々を送っていた。ある日、つねの財布から50銭を盗んだ犯人ではないかと疑われ、おしんは店を飛び出してしまう。そのまま家に帰ろうとしたおしんだが、雪山の中で倒れてしまう。そんなおしんを救ってくれたのは、脱走兵の俊作だった。
<Cheeseの解説>
橋田壽賀子が脚本をてがけ、人気を博した1983年のNHK朝の連続テレビ小説「おしん」。
この作品はおしんという一人の女性の生き様を、小林綾子、田中裕子、乙羽信子という三人の女優が演じています。
この映画は、そのおしんの幼年時代のみを取り上げ、山形県の寒村に生まれ、家族のために奉公に出て、様々な出来事に辛抱して成長していくおしんの姿を描いています。
おしんは、最初に奉公に出た中川材木店では、食べものも満足に与えられず、辛い仕打ちを受けながら家の雑用をこなします。
その後、ある出来事をきっかけに、材木店から逃げたおしんは、山中で暮らす炭焼き職人の松造と脱走兵の俊作と一冬を過ごすことに。
ここで、おしんは俊作から文字を習い、詩や文学というものがこの世にあるということを知るのです。
そして、松造爺、俊作と別れて実家に帰ったおしんは、実家を助けるため、もう一度奉公に出ることに。
そして加賀屋という奉公先で、その根性や向上心から、大奥様のくにに認められるようになるのです。
おしんはかなりハードモードな人生を送っています。
当時としては当たり前だったのかも知れませんが、現代人の目から見れば、7歳の子どもにこんな仕事をさせることはありえないし、人権侵害にもほどがあると、異様に感じてしまいます。
そんな辛い目にあいまくっているおしんですが、観ていてそれほど辛く感じさせないのは、ひとえにおしんを演じる濱田ここねちゃんの“陽”の魅力でしょう。
彼女の笑顔や明るい声音が、映画にパワーを与えているのだと思います。
と言いつつも、この作品でもっともいいシーンをもっていくのは上戸彩だったり泉ピン子だったりするあたりが気の毒でもありますが…。
それはやはり、原作者の橋田壽賀子がこの作品に込めた強い思いがあるからなのでしょう。
それにしても、「女っていうのはみんな家族のために働いている」と言われてしまうと、自分のためだけに働いて毎日楽しく過ごしている身からすると、ちょっと心が痛んだりも。。。
“家族のために生きる女性の強さ”というのは、現代にはなかなか見られなくなったものだからこそ、あえて現代に映画化されたということなのかもしれません。
でも、この作品、過剰なフェミニストや過剰な児童ポルノ反対者から、表面上だけ見てムダなツッコミを受けそうな部分が多いような気がします。
そういう“表現狩り”というようなことが起きないといいのですが。。。
『おしん』(109分/日本/2013年)
公開:2013年10月12日
配給:東映
劇場:全国にて
原作:橋田壽賀子
監督:冨樫森
脚本:山田耕大
撮影:鈴木周一郎
出演:濱田ここね/上戸彩/岸本加世子/井頭愛海/小林綾子/満島真之介/乃木涼介/吉村実子/ガッツ石松/稲垣吾郎/泉ピン子
公式HP:http://pr.livedoor.com/movie/oshin/
ポプラ社 (2013-10-04)
売り上げランキング: 130,581
売り上げランキング: 33,507
日本放送出版協会
売り上げランキング: 287,692
日本放送出版協会
売り上げランキング: 193,937