【映画レビュー】2分の1の魔法 / Onward
人体練成の魔法、それは禁忌…。
“死んだ人をよみがえらせる魔法”というと、どうにもおどろおどろしいイメージがあります。ピクサー製作のしかし、ディズニー映画『2分の1の魔法』は、そんなイメージを覆してくれます。
イアンとバリーというエルフの兄弟が、パパを完全によみがえらせるために、魔法のアイテムを探しに旅に出る物語です。
冒険の旅にとって何よりも大事なのは、旅の仲間を思う心。
すれ違っていた兄と弟の心が、旅を通して近づいていき、理解しあえるようになる様子が、なんとも心に響く一作でした。
<STORY>
かつて世界には魔法があふれていたが、技術の進歩により魔法が忘れ去られた世界。エルフのイアンは16歳になった。ママから渡されたのは、イアンが生まれる前に亡くなったパパが遺した魔法の杖と、「死者を1日だけよみがえらせる魔法」の呪文。その呪文をイアンが唱えると、下半身だけのパパが現れた…。イアンと兄のバリーは、半分だけになったパパを完全によみがえらせるため、魔法補助アイテム“不死鳥の石”を探しに冒険の旅に出る。
<解説>
ピクサー・アニメーション・スタジオの長編映画22作目となる本作。
かつては魔法があふれ、エルフやケンタウロス、マンティコアといった“魔法の世界の住人”が暮らしているにも関わらず、魔法が忘れ去られてしまった世界が舞台になっています。
物語の主人公となるのは、亡き父からのプレゼントの魔法の杖を手にしたことで、魔法の才能に気づいた16歳のイアン。そしてイアンの兄のバリーです。
イアンとバリーは半分だけよみがえったパパと一緒に、パパを完全に完全によみがえらせるため、“不死鳥の石”を探しに旅に出ます。
イアンにとってバリーは、ちょっとうっとうしい存在。
ファッションもダサいし、魔法オタクだし、近所でも有名なトラブルメーカーだし。
でも、半分だけよみがえったパパを完全によみがえらせるには、バリーの魔法の知識が必要なのです。
しょうがなく、バリーと共に愛車の“グウィネヴィア”で旅に出るうちに、兄がいかに自分を愛し、父親代わりとして支えてくれていたかに気づきます。
そして、バリーのために、自分も全力でパパをよみがえらせようとするのでした。
本作の監督のダン・スキャンロン監督は、自分が1歳の頃に父親を亡くしたそう。
そして、2つ年上の兄と一緒に育ってきたそうで、彼自身の「パパに1日だけでも会えたら…」という思いが、この作品へと結実したのだそうです。
だからこそ、通常であればおどろおどろしくなってしまう“死者をよみがらせる魔法”というものが、こんなに優しさと愛に満ちたものになっているのでしょうね。
『2分の1の魔法』(103分/アメリカ/2020年)
原題:Onward
公開:2020年8月21日
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
劇場:全国にて
監督:ダン・スキャンロン
音楽:マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ
声の出演:トム・ホランド/クリス・プラット/ジュリア・ルイス=ドレイファス/オクタヴィア・スペンサー/カイル・ボーンハイマー/グレイ・デリスル/メル・ロドリゲス/リナ・ウェイス/アリ・ウォン/ジョン・ラッツェンバーガー/トレイシー・ウルマン/ウィルマー・バルデラマ/ジョージ・プサラス
声の出演(日本語吹替え版):志尊淳/城田優/近藤春菜/浦嶋りんこ/林真里花/新谷真弓
Official Website:https://www.disney.co.jp/movie/onehalf-magic.html
ウォルト・ディズニー・レコード (2020-03-13T00:00:01Z)
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