【映画レビュー】鬼神伝
「こういうのこそが“ジャパニメーション”と呼ぶにピッタリ!」と思える伝奇アニメ『鬼神伝』。
実は、あまり期待せずになんとなく観に行ったのですが…、かなり楽しめました。
特に、“鬼”の造形がかなり面白い!
平安時代の絵巻「百鬼夜行」をそのままアニメに再現していて、かなり興味深かったです。
作家のクリエイティビティとアニメ技術の進歩がうまく組み合わさって、素晴らしい映像を見せてくれました。
アニメだからこそできる、日本人だからこそ作れる、こんな世界観を見せてもらえたことに、大きな満足感を感じることができました。
<STORY>
京都で暮らす中学生・天童純は、ある日謎の魔物に追われ、古寺に逃げ込む。そこで純は源雲という僧侶に助けられるが、気を失ってしまう。純が気付くと、そこは1200年前の京都・平安京だった。その頃貴族たちは、自然を操り妖術を使う鬼たちと闘っており、純こそが“救いの御子”であるという。純は封印されていた幻のオロチを目覚めさせ、オロチに案内され、山に向かった。そこで純は、鬼の格好をしていた女の子・水葉と出会う…。
<解説>
高田崇史の原作小説を川崎博嗣が映画化した本作。
大友克洋がオロチコンセプトデザインを担当し、宇崎竜童が音楽を担当したことでも話題の一作です。
弱虫の中学生だった天童純は、平安時代にタイムスリップし、貴族と鬼の戦いに巻き込まれます。
“鬼”とは、もともと平安京があった土地に住んでいた先住民のこと。
平安京を建造し、そこを維持しようとしている貴族たちにとって都合の悪い存在です。
そこで、貴族たちは先住民のことを“鬼”と呼び、穢れた存在として排除しようとしたのでした。
純は、そんな歴史の真実を知り、自分の心で判断し、オロチを操り闘おうとするのです。
現代の京都では気弱な中学生の天童純は、実は勾玉族の末裔で、オロチを操る力を持った人物。
そのため、封印されたオロチを使って鬼との戦いに勝とうとする妖僧・源雲に平安時代に連れて来られ、歴史の真実を知ります。
そして、大きく成長し、守りたいもののため、闘うことを決意するのです。
この物語は、少年の成長物語としても楽しめますし、伝奇物語としても楽しむことができます。
何よりも見応えがあるのは、鬼たちの造形。
仮面をかぶることによりメタモルフォーゼし、いろいろな形に姿を変えながら闘う鬼たちや、祈りの力で人間に憑依する鬼神たちなど、伝奇アニメならではの“何でもあり”な世界観で、どんなにCGは発達しても、実写では決して実現できないであろう世界を見せてくれます。
この鬼たちの姿を見ることができるだけでも、この作品を観た甲斐があったというものです。
まあ、物語の終わり方には若干の不満もありますが、最後以外はほぼ満足。楽しませていただきました。
音楽も良かったし、声優も良かったなぁ。
特に、源雲の声を演じた中村獅童。
エンドクレジットで「あ、あれって中村獅童だったんだ」と気付いたのですが、やっぱりさすがの実力ですね。強い力とカリスマ性をもった貴族たちのリーダー・源雲の姿を、見事に表現していましたよ。
『鬼神伝』(98分/日本/2011年)
公開:2011年4月29日
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
原作:高田崇史
監督・脚本:川崎博嗣
キャラクター・デザイン:西尾鉄也
オロチコンセプトデザイン:大友克洋
音楽:宇崎竜童
声の出演:小野賢章/石原さとみ/中村獅童/近藤隆/森久保祥太郎/伊藤健太郎/加瀬康之/小森創介/咲野俊介/東條加那子/相ヶ瀬龍史/野島昭生/塚田正昭
公式HP:http://onigamiden.jp/
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