【映画レビュー】ルートヴィヒ/[復元完全版] / Ludwig
1972年に製作されたルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『ルードウィヒ/神々の黄昏』。
上映時間が184分という長さのこの作品ですが、これでも編集でかなりの映像がカットされていたそう。
この『ルードウィヒ/神々の黄昏』からカットされた1時間近い映像を加え、再編集したのが本作『ルートヴィヒ/[復元完全版]』です。
今回、デジタル修復版が上映されていたので、観に行ってきました。
『地獄に堕ちた勇者ども』、『ベニスに死す』などの「ドイツ三部作」の最終作とされる本作、1806年から1918年までドイツにあったバイエルン王国の第4代国王・ルートヴィヒ2世の半生を、ヴィスコンティ監督ならではの美麗な映像で描いています。
4時間近い上映時間ながらも、その映像の数々に圧倒され、スクリーンから目を離すことができませんでした。
こういう圧倒的映像美をスクリーンを全身で堪能するというのは、やはり映画館でしかできない体験ですね。
久々にインターミッションの重要性を実感することもできました……。
STORY
1864年、ルートヴィヒ2世は18歳の若さでバイエルンの第4代国王となった。ルートヴィヒはオーストリア皇后となった従姉妹のエリーザベトに心を寄せるが、彼女は自分の妹のゾフィー・シャルロッテをルートヴィヒの妻に推薦する。ルートヴィヒは一度はゾフィーと婚約するが、やがてそれを破棄。美と芸術を愛するルートヴィヒは、豪華な城を建築したり、音楽家のワーグナーを重用するなど、政治から逃れ自身の芸術にのめり込んでいく……。
解説
神話や建築、音楽などの芸術を愛した第4代バイエルン国王・ルートヴィヒ2世。
多くの美麗な城を建築し、美青年を愛し、やがて狂王と呼ばれるようになりました。
従姉妹であるオーストリア皇后・エリーザベトを愛しては裏切られ、重用していた音楽家のリヒャルト・ワーグナーからは金づる扱いされ、傷ついていくルートヴィヒ。
1866年、プロイセン王国とオーストリア帝国の間に普墺戦争が起こり、自国にも戦争の危機を感じた彼は、弟のオットー1世に指揮を任せ、現実から逃げていきます。美青年たちを近習に揃え、俳優に熱を上げていきます。
美を愛する彼の繊細な精神は、国政という重い責任や愛した人たちからの裏切りに耐えられず、現実から逃避していくのです。
だんだんと耽美的な生活にのめり込んでいく美貌の若き王を演じたのは、ヴィスコンティ監督のパートナーでもあったヘルムート・バーガー。
そして、ルートヴィヒが唯一愛した女性・オーストリア皇后・エリーザベトをロミー・シュナイダーが演じています。
歴史の中で人生の軌道を狂わせていく王の姿を描くヴィスコンティ監督流の歴史大作。
4時間近い時間をかけて観るにふさわしい、眼にも豪華な一作でした。
作品情報
『ルートヴィヒ/[復元完全版]』(237分/イタリア・西ドイツ・フランス/1972年)
原題:Ludwig
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:エンリコ・メディオーリ/スーゾ・チェッキ・ダミーコ
製作:ウーゴ・サンタルチーア
製作総指揮:ロバート・ゴードン・エドワーズ
音楽:フランコ・マンニーノ
出演:ヘルムート・バーガー/ロミー・シュナイダー/トレヴァー・ハワード/シルヴァーナ・マンガーノ/ゲルト・フレーベ/ヘルムート・グリーム/ジョン・モルダー・ブラウン/マルク・ポレル/ソーニャ・ペドローヴァ/ウンベルト・オルシーニ/ハインツ・モーグ/マーク・バーンズ
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