LIFE！ ／ The Secret Life Of Walter Mitty

「まあ、なんて巧妙なステマ映画！」と、爽やかな感動とともに思わされる映画『LIFE！』。

この映画を観た後は、監督・主演を務めたベン・スティラーの手腕に素直に乗っかって、思わず旅に出たくなり、思わずシナボンを食べたくなり、思わずゼロハリバートンのアタッシェケースが欲しくなるはず。
そして、極寒の海に飛び込んでも水に浮くゼロハリバートンと共に、海に飛び込んだり、超長い坂道をスケートボードで滑り降りたり（それが無理なら雪山の頂上から一番下までスノーボードで滑り降りたり）、ヒマラヤの奥地で稀少動物を直に見たりしたくなるはず。

映画や写真、小説やドラマだけで味わうだけじゃなく、自分の五感で広い世界を体験し、美しい自然の中に飛び込み、“ライフ”を思い切り満喫し、充実させたい！

そんな風に、自分の人生を誠実に生きようと思わせてくれるような、そんなステキな映画なのです。

NYで雑誌「LIFE」の写真管理部に務めるウォルター・ミティには、空想癖があった。しかし現実の彼は、好きになった女性・シェリルとうまく言葉も交わせない気弱な男。ある時、「LIFE」の廃刊が決まり、高名なカメラマンのショーン・オコンネルから最終号の表紙用写真のネガが送られてくる。だがそのネガを無くしてしまったウォルターは、ネガを探すため、神出鬼没のショーンを追い、グリーンランドからアイスランドへ、冒険の旅に出る…。

ベン・スティラー演じる主人公のウォルター・ミティは、雑誌「LIFE」の写真管理部で、世界中から届けられる美しい風景写真や、歴史を切り取る事件写真など、ドラマティックな写真の中に埋もれる生活をしているオトコ。
家と職場の往復の毎日ですが、頭の中では彼はヒーローです。
雑誌「LIFE」の写真の中にあるような、現実離れした空想を繰り広げ、妄想の世界でヒーローとなったりしているのです。

そんな彼が、なくしてしまった写真のネガを探すために、狭い日常から飛び出して、北極圏のグリーンランド、アイスランドの火山のふもと、ヒマラヤの高地へと旅に出るのです。
そこで彼は、今そこにある現実のドラマに出会い、人生を体験していくのです。

ベン・スティラー監督と脚本家のスティーヴ・コンラッドは、1940年代に記されたジェームズ・サーバーの原作小説「虹をつかむ男」を見事に現代に置き換えて、2013年だからこそできた作品に作り上げてくれました。
（ちなみにこの原作は、1947年に「虹を掴む男」としてダニー・ケイ主演で映画化されています）

この映画を観た後は、自分の人生を誠実に生きて、自分のドラマを体験したいと思う人も多いはず。
私は映画やドラマは大好きだし、小説や写真も素晴らしいものだと思うけれど、やはりそれだけで頭でっかちになっていてはダメなのです。
自分の人生を、自分の足で生きていかねば。

そんな風に思わせてくれたこの映画、美しい自然の風景と素晴らしいドラマに彩られています。
その美しい風景を味わうにふさわしい、大スクリーンで体感してもらいたい映画です。