【映画レビュー】ラスト・ベガス ／ Last Vegas

これまで結婚することなく一人で生きてきたものの、ビジネスパートナーの葬儀の席で32歳の若い恋人にプロポーズしたビリー（マイケル・ダグラス）。
幼い頃から一緒だった愛妻に先立たれて以来、閉じこもってぼやいているパディ（ロバート・デ・ニーロ）。
持病のため、酒も飲めず、愛する孫とも遊ばせてもらえず、息子から受ける過剰な介護に飽き飽きしているアーチー（モーガン・フリーマン）。
愛する妻とフロリダで隠居と洒落込んでいるものの、老人向けのフィットネスなどしかない退屈な毎日を過ごしているサム（ケヴィン・クライン）。

58年ものの友情を育てて来た4人組は、人生の終りが見えて来たこのタイミングで、再びラスベガスに集まります。
そして、カジノで稼いだ10万ドルを元手に豪華なスイートに宿泊し、プールではビキニ・パーティの審査員をつとめ、クラブに繰り出しては若い娘をナンパし、美しい妙齢の歌手・ダイアナと知り合いに。
そして、58年来の友人同士だからこその贅沢な時間を過ごし、これまで言えなかったことを言い合い、自分の人生を見つめ直したりするのです。

そんな彼らの運命を大きく変える女神となるのは、メアリー・スティーンバージェン演じるラスベガスで知り合った歌手・ダイアナ。
彼女は、経理の仕事をしながら一人で娘を育て上げた後に「やっぱり歌手になりたい」と自分の人生を見つめ直し、ホテルの経理を見るのを条件にラスベガスで歌手となった女性。
首や顔に皺は目立ちますが、それこそが彼女の“本当の美しさ”を表しているような、年齢と経験を重ねてきた女性なのです。

そんな女性と出会い、自分の人生の多くのことを知っている仲間たちと過ごすうちに、彼らは“自分の人生で大事なものは何か”を悟っていくのでした。。。

本作は、ラスベガスが主な舞台だけあって、パーティーシーンもたっぷり。
そのパーティーで流れる音楽も、登場人物の年齢に合わせた懐かしいアース・ウインド＆ファイヤーの「September」などから、2013年ならではのピットブルの「Don’t Stop The Party」、FUN.の「We Are Young」など、誰もが聞いたことのあるパーティーチューンが満載。
ラッパーの50セントやLMFAOのレッド・フーなども出演しているので、そのあたりも楽しませてくれます。

この映画『ラスト・ベガス』は、名優たちの余裕と遊びたっぷりの演技、ノリのいい音楽、ラスベガスという華やかな舞台、コミカルかつ愛情あふれる人間ドラマ、そんな魅力が詰まった大人のコメディ映画と言えるでしょう。