【映画レビュー】海月姫
オタクでニートな腐女子たちが集まり、住人がそれぞれの趣味に精を出す“天水館”の“尼~ず”たち。
仕事もせず、ファッションにも気を使わず、好きなことだけをやって仕送りで楽しく生きる彼女らの姿が、なんともうらやましいようなそうでもないような気にさせてくれるのが、漫画家東村アキコの同名コミックを川村泰祐が監督した映画『海月姫』です。
主人公の月海を演じる能年玲奈のほか、素顔もわからないほど役になりきった池脇千鶴、太田莉菜、馬場園梓、篠原ともえらのなりきりぶりも楽しい一作です。
女装男子・鯉淵蔵之介を演じる菅田将暉も、本当に可愛らしく…。
美少年っていうのは、女装をしても似合うものなんですね。。。
<STORY>
倉下月海はクラゲオタク腐女子。オタクでニートな腐女子たち“尼~ず”が暮らすアパート、天水館で楽しく“男を必要としない人生”を過ごしている。しかし、ある日彼女は女装が趣味の女装男子で政治家一家の次男、鯉淵蔵之介と出会う。蔵之介は月海と尼~ずを気に入り、男子禁制の天水館に女装で出入りするようになる。その頃、天水館の地域に最開発計画が持ち上がり、天水館が取り壊されることとなり、行き場がなくなる尼~ずが立ち上がる!
<解説>
クラゲオタクの月海、三国志オタクのまやや、和物オタクの千絵子、鉄道オタクのばんば、枯れ専のジジ…、そんな個性豊かなオタク女子、“尼~ず”たちが登場するこの作品。
なんと言っても、原作そっくりのなりきりぶりが一番のポイントと言えるでしょう。
特に特筆すべきはまややを演じる太田莉菜。
美人モデルのイメージをかなぐり捨てて、奇声を発しまくっています。
まあ、声を作りすぎてセリフが聞き取りづらい面もありますが、そこはしょうがないのかな。
他にも、強烈なアフロ姿のばんばさんを演じる池脇千鶴や、影が薄いジジ様を演じる篠原ともえも、目がほとんど映らず、顔もよくわからないキャラクター。
よくこんな役を受けたなあと、彼らの俳優魂に拍手したい思いです。
アジアンの馬場園梓が演じる和装の千絵子も、本来ならば濃いキャラクターなのでしょうが、他のメンバーと一緒にいると薄~く思えてくるから不思議なものですね。
女装男子の蔵之介と出会い、自分たちの居場所である天水館を守るため、今までまったく興味のなかった“尼~ず”の奮闘を描くこの作品、オタクだったり趣味が敬遠されて友だちがいなかったりするようなオタク女子たちを応援してくれるような作品です。
「自分はこのままでもいいんだ。でも、一歩を踏み出してみると、また別の景色が見えてくることもあるかも…」
そんな風に思わせてくれる、キュートな一作と言えるでしょう。
『海月姫』(126分/日本/2014年)
公開:2014年12月27日
配給:アスミック・エース
劇場:全国にて
原作:東村アキコ
監督・脚本:川村泰祐
脚本:大野敏哉
衣裳デザイン:飯嶋久美子
出演:能年玲奈/菅田将暉/池脇千鶴/太田莉菜/馬場園梓/篠原ともえ/片瀬那奈/速水もこみち/平泉成/内野謙太/長谷川博己
公式HP:http://www.kuragehi.me/
Happinet(SB)(D) (2015-07-02T00:00:01Z)
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