【映画レビュー】ジュディ 虹の彼方に / Judy
『オズの魔法使』(1939年)や『スタア誕生』で知られるジュディ・ガーランド。
悲劇の子役としても知られる往年の人気スターですが、その人生の隆盛をきちんと知っている人は、現代の日本ではだいぶ少なくなっているかもしれません。
このジュディ・ガーランドの晩年の哀しみと輝きを描いたのが、映画『ジュディ 虹の彼方に』。
レネー・ゼルウィガーがジュディを演じ、第92回アカデミー賞などで主演女優賞を受賞しました。
<STORY>
1968年、落ち目となったジュディ・ガーランドは3人目の夫との間に生まれた幼い子どもたちを元夫に預け、ロンドンのナイトクラブ「トーク・オブ・ザ・タウン」で5週間の興行を行うことに。世話係のロザリンの手を焼かせるジュディだが、一度ステージに立つと天性のエンターテイナーとして観客から喝采を受ける。5人目の夫と結婚し、興行も順調に進んでいくように見えたが、ドラッグ摂取などでだんだんとステージに支障を来すようになる…。
<解説>
1969年6月22日に薬物の過剰摂取のために47歳で亡くなったジュディ・ガーランド。
17歳で『オズの魔法使』でブレイクしてから30年間、“ミス・ショウビジネス”としてハリウッドの光と闇の中で強烈な人生を送ったディーバです。
10代の頃からMGMのルイス・B・メイヤーの管理下で覚せい剤や興奮剤、睡眠薬、減量剤などの薬漬けにされてコントロールされてきたジュディは、年齢を重ねるに連れて心も体もボロボロになります。
頻繁に撮影に遅刻したり穴をあけたりすることで、業界内での評判も失墜し、1950年にはMGMに解雇されてしまいます。
MGM解雇以来しばらく映画界を離れていましたが、1954年には『スタア誕生』で銀幕に復帰。素晴らしい演技を見せてアカデミー賞にノミネートされるものの、惜しくも受賞を逃してしまいます。
その後はオファーも減少し、ライブ活動やテレビ出演に活路を見出しますが、やがて再び薬物依存に拍車がかかっていきます。そして経済的にも困窮していき、“お騒がせセレブ”として名を馳せてしまうのでした。。。
プライベートでは5人の男性と結婚し、ライザ・ミネリ(2人目の夫 ヴィンセント・ミネリとの間のに生まれた娘)、(3人目の夫・シドとの間に生まれた娘ローナと息子ジョーイ)の3人の子に恵まれました。
性的にも奔放だったと言われる彼女は、ゲイのアイコンとしてLGBTコミュニティからも人気を博していました。
LGBTQの象徴とも言えるレインボー・フラッグは彼女が『オズの魔法使』で歌った「オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に」が由来なのです。
劇中で、ジュディが長年のファンのゲイカップルの家を訪ねるシーンがありますが、このエピソードはジュディがゲイの人たちから愛されていたことを意味しているのです。
そんなジュディ・ガーランドの晩年を描いた本作『ジュディ 虹の彼方に』は、2005年にオーストラリアで上演されたピーター・キルター作の舞台「End of the Rainbow」を原作としています。
この映画で描かれる1968年には、彼女は経済的に困窮し、子どもたちを父親に預け、イギリスへ出稼ぎに行くこととなります。
当初、現地では喝采を受けていましたが、やがてドラッグの量も増え、酩酊状態でステージに登壇するようになったと言います。
5人目の夫となるミッキー・ディーンズとも結婚し、幸福を感じながらも悩みも深かったのかもしれません。。。
そんなエンターテイナーとしてのジュディの苦悩と輝き、そして一人の女性としての苦しみと哀しみを、レネー・ゼルウィガーが全身全霊で演じています。
もともとミュージカル『シカゴ』などでその歌声は高く評価されていましたが、本作のジュディの歌唱シーンもすべて彼女が歌っています。
顔自体をそれほどジュディに似せているわけではないのですが、細かな体の震わせ肩や、背骨が湾曲したジュディの肩の置き方を体現してみせるなど、レネーの女優としてのプロフェッショナルな仕事を見ることができます。
アカデミー賞主演女優賞を受賞したのも、納得の演技と言えるでしょう。
『ジュディ 虹の彼方に』(118分/アメリカ=イギリス/2019年)
原題:Judy
公開:2020年3月6日
配給:ギャガ
劇場:全国にて
原作:ピーター・キルター
監督:ルパート・グールド
脚本:トム・エッジ
音楽:ガブリエル・ヤレド
出演:レネー・ゼルウィガー/ジェシー・バックリー/フィン・ウィットロック/ルーファス・シーウェル/マイケル・ガンボン/ダーシー・ショー/ロイス・ピアソン/ベラ・ラムジー/アーサー・マクベイン/ジョン・ダグリーシュ/ジェマ・リア=デヴェロー/デヴィッド・ルービン/リチャード・コーデリー/アンディ・ナイマン/ダニエル・セルケイラ/ルウィン・ロイド
Official Website:https://gaga.ne.jp/judy/
ギャガ (2020-09-02T00:00:01Z)
¥2,609
ギャガ (2020-09-02T00:00:01Z)
¥3,115
Universal Music (2020-03-04T00:00:01Z)
¥2,750
Naxos (2006-08-01T00:00:00.000+09:00)
¥916
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2019-11-20T00:00:01Z)
¥3,863
ワーナー・ホーム・ビデオ (2000-09-08T00:00:01Z)
¥2,026 (中古品)
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-09-16T00:00:01Z)
¥4,400