【映画レビュー】恋するベーカリー / It’s Complicated
メリル・ストリープ主演のアダルトなラブ・コメディ『恋するベーカリー』。
爽やかそうな邦題とは裏腹に、メリルがベージュのブラジャーまるだしだったり、ハッパでラリっちゃったり、アレック・ボールドウィンがメタボッ腹も露わに全裸ビデオチャットしちゃったり、なかなかハジけた熟年の恋が描かれています。
そう言えば、スティーブ・マーティンが出ているのですが、髪型も七三分けで、あまりに普通の“善良な初老のおじさん”キャラだったため、エンドロールまでスティーブ・マーティンだと気付きませんでした。。。
STORY
人気ベーカリーの経営者・ジェーンは10年前に夫と離婚した後、3人の子供たちを立派に育て上げた。末っ子も家から出て独立することとなり、ジェーンは夢だったキッチンの改築に取り掛かる。やって来た建築士のアダムとジェーンはだんだんと意気投合。手料理をごちそうする仲になる。ある日、ジェーンは息子の大学卒業式で、元夫・ジェイクと再会。バーで飲みながら思い出を語っているうちに盛り上がり、一夜を共にしてしまう!
解説
この映画の原題は「It’s Complicated」。
複雑な、という意味です。
10年前に離婚した夫・ジェイクと再会し、勢いで不倫関係に陥るジェーン。
「だめよだめよ」と言いつつジェイクと関係を続けながら、建築士のアダムともいい感じに。
ジェイクは、若妻・アグネスがいながらも、ついつい昔馴染みの元妻・ジェーンに惹かれてしまう。
アグネスの連れ子の父親としての生活に、ちょっとした疑問を感じてもいる。
ジェイクの若妻・アグネスは、ジェイクとジェーンの離婚の原因になった女性。
でも、ジェイクが離婚した途端に、アグネスとジェイクの関係は破綻。
アグネスは別の男性と子どもを設けますが、結局はジェイクと元サヤに収まり、結婚。
現在はジェイクとの間の子どもが欲しいと、不妊治療の真っ最中。
建築士のアダムは、2年前の離婚に傷ついている初老の男性。
ジェーンと関係を進めたいと思いつつも、「もう傷つくのはいやだ」と思い、なかなか踏み出せないでいる…。
うーん、確かに複雑な人間関係です。
登場人物の誰もが、過去にいろいろな経験を重ね、いろいろな判断を積み重ねて今に至っています。
今の生活におおむね満足しながらも、何かあった時には、ちょっとした後悔と共に、ふとした疑問が胸に去来するのです。
「あの時の選択は正しかったのか?」
「離婚しない方が、もっと幸せな生活が送れたのでは?」
そんな疑問を抱き、かつて自分が持っていて、現在は手放してしまったものを、もう一度手に入れてみようとする。
本作の登場人物は、そんな50代の大人たちです。
離婚率の高いアメリカでは、50代、60代になって、同じような思いにとらわれる人が多いのかもしれません。
製作・監督・脚本を担当したナンシー・マイヤーズ自身、『アルフィー』、『マリー・アントワネットの首飾り』等で知られる映画監督チャールズ・シャイアと二児をもうけた後に離婚しているようです。
もしかしたら彼女自身も、そんな思いに揺れることがあるのかも。
この映画は、そんな、かつての判断に自信を持てなくなってきた人への、監督からの応援歌であり、喝なのかもしれません。
作品情報
『恋するベーカリー』(120分/アメリカ/2009年)
原題:It’s Complicated
公開:2010年2月19日
配給:東宝東和
劇場:TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督:ナンシー・マイヤーズ
メリル・ストリープ/アレック・ボールドウィン/スティーブ・マーティン/ジョン・クラシンスキー/ハンター・パリッシュ
公式HP:http://www.koibake.com/
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