【映画レビュー】インシテミル 7日間のデス・ゲーム
ホリプロ50周年記念作品ということで、ホリプロの俳優陣が顔を揃えた密室サスペンス『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』。
いや、ありえないっちゃあありえない設定のオンパレードなのですが、俳優たちの熱演にものすごいパワーがあるので、ありえない設定を忘れて、つい物語に引き込まれてしまいます。
原作を読んでいないので、なんとも言えないところもあるのですが、あの大仰な処刑ロボットやわざとらしい人形は原作通りなのかしら。
だとしたら、中田秀夫監督や俳優陣は、かなり良い仕事をしているのではないかと思います。
<STORY>
暗鬼館という密室で行われる時給11万2000円のアルバイト。その内容は、10人の男女が共同生活をする7日間の心理実験だった。参加者は、夜はそれぞれ別の武器が装備された各人の個室で過ごさなければならない。実験二日目の朝、廊下である参加者の遺体が発見された。暗鬼館のルールに従い、探偵役が参加者の中から容疑者を選び、多数決で犯人と決定されたその参加者は、監獄に投獄される。しかし次の朝、また新たな遺体が見つかる…。
<解説>
いろいろと考えると、どうもありえない設定の本作。
だって、時給11万2000円という名目で募集しつつも、生きて帰れる可能性はかなり低い。
死亡者への補償はどうなっているのか。死体はどうなるのか。
普通に両親も存命そうな若者たちがゲームに参加しているのに、息子たちが急に行方不明になって、両親がほっておくわけない。
なおかつ、そんなボロいバイトに行くのに、周囲の誰にも言ってないなんてありえない。
とかね。
設定のありえなさ以外にも、思わせぶりなくせにほったらかしっぱなしの○○とか、第一の事件の後は、誰も守らない△△△とか…。
いろいろと、整合性のとれていないところは多いのです。
でも、ついつい物語に引き込まれてしまうのは、俳優陣の熱演がすごいから。
多分、ほとんどがホリプロ所属の俳優さんだし、みんな勝手知ったる仲なのではないかと思うのです。
その知り合い同士が、
「ちょっとテンション上がってこんな演技やっちゃった、エヘ」
「アイツにここまでやられたらなー、じゃあオレだってやっちゃうよ」
「いやいや、俺はもっと凄い演技できるし」
と、演技合戦を繰り広げているような雰囲気です。
密室に追い詰められ、だんだんと常軌を逸していく普通の人々を、それぞれ怪演しています。
まあ、若干名、まだまだ弾けきれてない感のある方もいましたが、そのマイナスを補ってあまりあるほどの熱演が、この映画のそこかしこに。
いろいろと設定やロボット造形などにツッコミを入れつつも、俳優たちの演技を感心しながら観て欲しい一作です。
いやー、ホリプロ、層厚いわー。。。
『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(107分/日本/2010年)
公開:2010年10月16日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:丸の内ピカデリーほか全国にて
原作:米澤穂信
監督:中田秀夫
出演:藤原竜也/綾瀬はるか/石原さとみ/阿部力/武田真治/平山あや/石井正則/大野拓朗/片平なぎさ/北大路欣也
公式HP:http://www.incitemill.com
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