【映画レビュー】花束みたいな恋をした
21歳から26歳の間。
親に甘えられた学生から、自分でお金を稼いで暮らす社会人になるという、人生の中でも最も変化が大きな年代とも言えるでしょう。
これくらいの年代で経験した恋愛というのは、なんだかんだ言って人生の中でもかなり記憶に残るというか、その後の恋愛に対するスタンスを決めるものと言えるかもしれません。
この映画『花束みたいな恋をした』は、有村架純と菅田将暉のダブル主演で贈る、21歳から26歳までの5年間のラブストーリー。
エピソードの一つひとつがリアルで、30オーバーの人にとっては、かつての恋愛を思い出させるような、20代の人にとっては今の自分の恋愛模様と考え合わせてしまうような、そんなどこにでもありそうな、でもどこにもないような、そんな物語でした。
<STORY>
終電を逃した八谷絹と山音麦は明大前の駅で出会う。ひょんなことから一緒に喫茶店と居酒屋で時間をつぶすことになった二人は、押井守監督に遭遇したのをきっかけにお互いの趣味が合うことに気づく。その後、付き合うことになった二人は、調布の駅から歩いて30分、多摩川近くのマンションで同棲を始める。大学を卒業しバイト生活を送っていた二人は、やがて自分の夢とは違う職業に就くことに。そして、二人の気持ちはだんだんとすれ違うように……。
<解説>
「東京ラブストーリー」、「最高の離婚」、「カルテット」など、数々の名ドラマを手がけてきた脚本家、坂元裕二。「映画はむいていない」という彼が10数年ぶりに映画脚本に挑んだのが、本作『花束みたいな恋をした』です。
監督を務めるのは、ドラマ「カルテット」などでも坂元裕二とタッグを組み、映画『罪の声』、映画『ビリギャル』などでも知られる土井裕泰。
日本の映画・ドラマ界で活躍する二人の監督・脚本家が手を組んだ本作、現代を生きる日本の若者の恋愛をリアリティたっぷりに描き出しています。
ものすごく趣味があって、これ以上自分に合う人はいないのではないか……と盛り上がる恋愛初期。
一緒に暮らし始めて、相手の色々なことがわかってきて、自分と同じ点はうれしく感じ、自分と違う点には新鮮さを感じつつ、安心してつきあえる恋愛中期。
相手のことよりも他のことが大事になってきたり、自分の都合や思いに振り回されて相手への配慮ができなくなっていき、相手への不満が募ってくる恋愛終期。
そして、愛は無くなってきているけれど、別れるまでのエネルギーを貯めるまでなかなか動き出せない恋愛末期。
このどこにでもありそうな、でもどこにもなさそうな恋愛が、京王線の明大前駅、調布駅、多摩川と、東京に暮らす人であれば、何度か見たことのあるであろう身近な風景の中で展開していきます。
この恋愛模様は、まさに今の若者の恋愛風景とかぶるのではないでしょうか。
学生の頃のようにまっすぐに夢を追うこともできず、多くの人にとって、現実と折り合いをつけながら暮らしていく必要が出てくる20代中盤。
夢をきっぱり諦めた人と、現実と夢の折り合いをつけながら夢に近い場所を選んで仕事にしようとする人。
このあたりの二人の葛藤も、とてもリアリティあり……。
かつて20代だった大人たちとっては、かつての色々な感情を思い出し、見ていて心が痛くなるような、そんなラブストーリーなのでした。
『花束みたいな恋をした』(124分/日本/2020年)
公開:2021年1月29日
配給:東京テアトル、リトルモア
劇場:全国にて
監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
音楽:大友良英
出演:有村架純/菅田将暉/オダギリジョー/戸田恵子/岩松了/小林薫/清原果耶/細田佳央太/韓英恵/中崎敏/小久保寿人/瀧内公美/森優作/古川琴音/篠原悠伸/八木アリサ/押井守/PORIN/佐藤寛太/岡部たかし
Official Website:https://hana-koi.jp/
リトル・モア (2021-01-04T00:00:01Z)
¥2,200
リトル・モア (2021-01-04T00:00:01Z)
¥1,760
ポニーキャニオン (2015-02-18T00:00:01Z)
¥17,728
ポニーキャニオン (2013-07-17T00:00:01Z)
¥29,890
TCエンタテインメント (2017-07-07T00:00:01Z)
¥17,488
東宝 (2015-11-18T00:00:01Z)
¥2,973