TSUNAMI-ツナミ- / 해운대/海雲台
『2012』と『日本沈没』を足して2で割り、『LIMIT OF LOVE 海猿』の風味をかすかにきかせたような、韓流ディザスター・ムービー『TSUNAMI-ツナミ-』。
ものすごい迫力で巨大TSUNAMIが釜山(プサン)にあるリゾート地・海雲台(ヘウンデ)を襲う様子を描いた作品です。
いろいろとツッコミどころはありますが、最新鋭のCGを駆使したド迫力の津波映像と、その状況下で展開される、なんとも昔ながらの泥臭~い人間ドラマの対比がなかなか面白い。
『デイ・アフター・トゥモロー』、『パーフェクト ストーム』など数々のディザスター・ムービーを手掛けたハンス・ウーリックが所属するポリゴン・エンタテインメントが手掛けたメガ津波のCGは、さすがの迫力です。
その映像を観ているだけでも、ディザスター・ムービーファンなら満足できるのではないでしょうか。
<STORY>
2004年のインドネシア大津波で父親を亡くしたヨニは、プサンのリゾート地・海雲台(ヘウンデ)で屋台を出して生計を立てていた。ヨニの父親が死亡した時、同じ漁船に乗っていたマンシクはヨニに想いを寄せ、何くれなくヨニの世話をするが、ヨニの父親への負い目もあり、なかなか告白できないでいた。その頃、国際海洋研究所の地質学者キム・フィは、プサンへのメガ津波の到来を予測する。しかし、彼の警告は無視されてしまう…。
<Cheeseの解説>
TSUNAMI、と聞くと、どうしても、
♪みつめあ~うと~すな~おに
おしゃ~べり~でき~な~い♪
というメロディがついつい心に浮かんでしまう私ですが、この映画は、まさにそんな“素直におしゃべりできない”人たちを描いた人間ドラマでもあります。
幼なじみでお互いに惹かれあいつつも、お互いに気持を伝えることができないヨニ(ハ・ジウォン)とマンシク(ソル・ギョング)。
彼らは、お互いの過去にしばられ、遠慮しあい、すれ違ったままで平穏な日常生活を過ごしています。
マンシクの弟で、海洋救助隊の隊員・ヒョンシク(イ・ミンギ)は、都会から遊びに来た女の子・ヒミと両想いになるけれど、お互いに意地を張り合ってケンカ別れのようになってしまいます。
地質学者のキム・フィは、久しぶりに再会した離婚した妻と自分の娘・ジミンを心配しつつも、ジミンに自分が父親であるということを伝えられないでいます。
ヨニの小学校の同級生・ドンチュンは、雑貨店を営む母親の世話になり、定職にも就いていないニート青年。
「就職しないのか」と心配する母親を疎ましく思い、感謝の心を表わせないでいます。
この映画の前半は、上記の人たちが繰り広げる、ベッタベタでハイテンションなローカルドラマ。
正直、かなりドメスティックな内容というか…、韓国国民以外には受け入れがたいのではないかと思ってしまうような、洗練されていない展開。
漁師町を舞台にしているせいなのか、登場人物たちの言動も荒っぽく、展開もかなり乱暴です。
昔ながらの韓国ドラマを見なれていて、プサンの人々の特性もわかっている人であれば平気なんだろうけど、そうでない人にとってはちょっと辛いのではないかと…。
正直、個人的には前半はちょっとキツかったです。
でも、後半になると展開は一変。
人間には太刀打ちできない強大な自然に襲われて、なすすべもない運命に巻き込まれていく人々の姿を、壮大な映像と荘厳な音楽で感動的に描き出します。
不器用で本当の気持ちをなかなか伝えられなかった人たちが、究極の状況で、本当の想いを伝えようとする様子は、やはり心を打つもの。
『海猿』ばりの感動シーンもあったりし、「ここでその音楽鳴らされたら、もう泣くでしょ、やっぱり」という感じ。
推測ですが、韓国の人がこの映画を観ると、前半で古き良き韓国の昔ながらの生活を思い出すのではないでしょうか。
そして、後半では親子愛に感動し、自分の危険をかえりみず命を捧げる男気に泣き、運命の男女の強い愛に胸を熱くする、と…。
この作品、良くも悪くも、心のあちこちの琴線に引っかかるように作られているのです。
韓国で観客動員数1153万人というメガヒットを記録したというのも、なんとなく納得してしまいます。
まあね…、ディザスター・ムービーの割に、メガ津波が起こるメカニズムの説明がおざなりだったり、「絶対助からないだろ、それ!」という状況の人があっさり助かっちゃってたり、逆に助かってもよさそうな人があっさり死んじゃってたり、いろいろなツッコミどころはあります。
でもまあ、監督の描きたかったところは究極の状況で繰り広げられる人間ドラマなのでしょうし、そこはあざといくらいに描けているのではないかと思います。
海雲台の街並みを飲みこんで行くメガ津波の映像は期待以上の迫力だったし、なかなか楽しめる一作でした。
『TSUNAMI-ツナミ-』(107分/韓国/2010年)
原題:해운대/海雲台(ヘウンデ)
英題:HAEUNDE
公開:2010年9月25日
配給:CJ Entertainment Japan、パラマウント ピクチャーズ ジャパン
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
監督:ユン・ジェギュン
CG・視覚効果:ハンス・ウーリック
出演:ソル・ギョング/ハ・ジウォン/パク・チュンフン/オム・ジョンファ/イ・ミンギ/カン・イェウォン/キム・イングォン
公式HP:http://www.mega-tsunami.jp/
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